others story3 凹凸カップルと目撃 side小野澤夏鈴

 ウチらは今、ショッピングモールで放課後デートをしている。


この流れ何回目だよって?わかってるよ!でも仕方ないじゃんか!場所かぶっちゃったんだから!


ということでウチは今、彼氏のとーやと一緒にショッピング中・・・

だったんだけど、向こうの方に堺雄太君と湊川桜ちゃんの1-A二大カップルの片方がデートしているのを見つけて、こっそり観察中。


冬「…夏鈴、怪しまれてるぞ。」

夏「なんでよ、向こうは気づいてないじゃん!」

冬「…いや、あの二人じゃなくて、周りから。」


え?・・・あ、ほんとだ。

そういえばしゃがんで覗いてたんだった。ガラスの前でしゃがみながら吹き抜けの反対側をにらんでいるJK・・・怪しさハンパないな。


夏「えへへ♪」

冬「…はぁ・・・」


なにもそんなに盛大なため息つかなくていいじゃんかぁ!


この人は邨田むらた冬弥とうや。ウチの彼氏で幼馴染。

ニキビ一つない色白美肌。サラサラで長めの黒髪で黒眼。長い手足。

しかもほとんど手入れしてないという女子が嫉妬するスペック。


身長も高くて腰も脚も細いんだけど、空手3段の実力者。

空手の流派っていっぱいあるんだけど、とーやが習っているのは少林寺流空手道っていうんだって。なんか『防具つけて全力でやり合う流派』らしい。

今の趣味はたしかスプラトゥ〇ンとドラム。


実は同じ学校の同じクラスなんだよね。確か35番だったはず。


あ、出席番号ね。



え、馴れ初め?

や、ヤダもう恥ずかしいなぁ。普通だよ普通!何も変わったことないって。

それでもいいから教えて?えぇぇぇぇぇ・・・ほんとに言わないとダメ?


うう、わかったよ・・・わかったから!!



ええっとね、とーやとは赤ちゃんの時から一緒なんだけど、異性として意識し始めたのは確か・・・年長だったかな?いや、小学一年生だったっけ?そのくらいだったと思う。

いやまあ、最初は『かっこいいかも』くらいだよ?とーやはその時から落ち着いてたし、顔もひいき目なしでかっこよかったし。ただ、不思議とあんまりモテてなかったね。まあ、自分から話しかけないし、そもそも女子と接点が少なかったってのはあるかも。

それで、まあ小学生低学年まではそんな感じで恋心未満の気持ちだったんだけど・・・高学年になったらさ、みんな恋愛に対して敏感になるじゃん。わからないかな?なんかこう・・・『〇〇ちゃんは○○君が好き』みたいな噂が立ったりとかさ。

それで・・・ウチととーやの噂が立って。なんかその時、うちの学校で幼馴染=恋人になりやすいみたいな風潮があってさ。それで目をつけられて、って感じなんだけど。

それで、ウチととーやが絡まれるワケで。ウチはモロ図星なのもあってまー地獄だったんだけど、とーやは何でもないような顔しててさ。こっちとしては照れないから脈なしなんだろうけど嫌そうな顔もしないからまだワンチャンありなのか、みたいな感じでこっちもこっちで地獄だったんだよね。

んで、クラスのアホな男子がついにとーやにつっかかってさ。その時とーやはもう空手黒帯だったから、見たことあるけどめっちゃ強かったんだよね。防具着た中学生顔面パンチ(確か上段突きっていうはず)で一発K.O.してたし。

それでソイツがとーやに向かってウチを罵倒してさ。何を言ったかは言いたくないんだけど、それで、とーやがキレてさ。ソイツの胸倉つかんで殺気出しながらそいつに向かって「おれ、夏鈴のこと好きなんだけど。・・・るぞ?」

って言い放ってさ!

それで、完全に惚れてしまった次第です、ハイ。いや、だって、めちゃかっこよかったんだよ。ほんとに。


・・・え?その男子?漏らして腰抜けてたね。そっから過剰にとーやのこと避けてた気がする。



ってなんか盛大に話がズレてる!



え~~っと、んで、ウチはその彼氏のとーやとショッピングモールでデートしてたんだけど、向こうにゆたさくカップルが見えたから観察してましたまる


でもびっくりしたなぁ・・・いや、桜ちゃん店の中でおもっきり雄太君に抱き着いてたじゃん。流石にウチでもそんなことできないよ。マジで。


桜「雄くん!!」


おわっ、びっくりした!声でっかくない・・・?

ていうか桜ちゃんの雄太君の呼び方『雄くん』なんだ。かわいいかよ。


・・・かわいかったよ。忘れてたよ。


お、そのままクレープ屋に・・・ってあれマザークレープじゃん!

絶対後で行こう。あと雄太君ノリノリじゃね?・・・もしかして、いやもしかしなくても同志だよね!あれ!


マジかー、同志がいるとは。注文は?・・・ホイップカスタードだ!!!

いや~~~マザークレープでホイップカスタードはわかりみ深すぎるわ。

深すぎてむしろ高いわ。


お、桜ちゃんがサインをおねだりされてる。流石の知名度だね、咲良アリサ。

あちゃー、困ってるっぽいねあれは。どうする、雄太君・・・!


おお、颯爽と入ってきた。やっぱさすイケ。

んん?でもなんか打ち解けすぎてない?なんでだ・・・?


冬「ウワサのカレシだからじゃない?」

夏「マジで!?雄太君が予言推理のカレシ!?」

冬「逆に堺君じゃなかったら誰なの?」

夏「え、それ、は・・・あ、確かに!」


そいえばそーじゃん。雄太君じゃなかったら桜ちゃんが二股してることになっちゃう。今日見た限りではそんなことする子じゃない。ていうか雄太君スペック高すぎるし桜ちゃんベタベタだったし二股する理由が見当たらないな。


あーでもあの具合ならアリサちゃんの雰囲気もわかる。気がする。


予言推理君の話するときはいっつも幸せそうに話すんだよねえ。

聞いてるだけで『あーこの子、カレシのこと大好きなんだなあ』ってわかるし。

最初はアンチコメ多かったけど今じゃ『二人の恋は応援しよう』って空気が大きすぎて、アンチコメ書くだけで書いた人大炎上するから。


実際尊いよね。すっごく。


あ、帰ってった。じゃあ、観察も終わりだね。さて、デートを楽しみますか。





マザークレープのホイップカスタードはやっぱりおいしかったです。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る