MAIN STORY 3 - 2 天才と女優の放課後デート ゆたさく編 side雄太・桜

店=店員


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side雄太



優斗たちがカフェでお茶をしている間、俺は桜ちゃんと買い物デートをしていた。


桜「ねえねえ雄くん!この服かわいくない?」

雄「おお、かわいい。あ、桜ちゃんこっちはどう?」

桜「うわぁ!かわいい!」


と、桜ちゃんは大変お楽しみである。笑顔がとっても天使。かわいい。


雄「ほしいものは決まった?」

桜「・・・もうちょっとだけ!いい?」

雄「俺はいいけど、ほかの店行く時間なくなるぞ?」

桜「う~~~~~、そうなんだよなぁ。でもでも・・・」


と、桜ちゃんはうんうん悩む。かわいい。


俺たちは、もうかれこれ30分ほど同じ店をうろうろしている。

この通路も3週目である。商品の並びも覚えて、正直、俺はもう飽きてきた。

こういう時に限っては、記憶力がいいのも考え物だな。

未だ飽きずに感動している桜ちゃんはすごいよなぁ、ほんとに。


桜「う~~~~ん。これかわいい・・・でも、これも・・・・・・う~~~ん。」


と、桜ちゃんは服を2つ手に取って悩み始めた。

片方は桜色のワンピース。もう片方は薄いカーディガン。どっちも似合いそう。

というか、桜ちゃんは何着ても似合うんだよな・・・


なんて考えていたら、


桜「う~~~~~~~~~~~~~ん・・・雄くん、どっちがいい?」


お、これは本気で悩んでいる感じだな。さて、どうしたものか。



ここで、雄太のワンポイント!


よくある『どっちがいい?』問題だが、この場を借りて二つのパターンがあることを伝えておく。

あくまで俺の感覚だから、全ての女性が当てはまるとは言えないので注意。


1つ目は、『既に自分の答えを持っている』パターン。人によるけど、桜ちゃんは9割くらいはこっちだな。

自分の中で『こっちがかわいい』というのがあって、恐らく彼氏が同じ意見か確認したいんだと思う。俺の考えだけど。

要するに『こっちだよな?そうだよな?』ということだ。知らんけど。

自分の好きな方を伝えてもいいが、俺はある秘策をもっている。


2つ目は、『ほんとに答えが決まっていない』パターン。

どっちも凄くいいから、彼氏も一緒に悩んでほしい、というものだと思う。

意見を求めてくるが、多分彼氏に決めてほしいわけではない。

こっちの場合、聞く前にメチャクチャ悩むから割とわかりやすい。

彼女に質問したり、自分の意見を伝えることが大切だ。

ただ、自分がいいと思うやつと反対のものを選んでも文句は言わない。絶対。


そして、この場合は2つ目の方である。

だから俺も真剣に考えて、意見を伝える。


雄「う~ん・・・桜ちゃんはさ、このワンピースのどういうところがいいの?」

桜「グラデーションとか・・・襟のところ・・・とか?かわいい。」

雄「なるほど。じゃあこっちは?」

桜「私が持ってる服にあいそうだな~~って。雄くんはどっちがいい?」


なるほどな。


雄「俺は・・・桜色のワンピースの方が新鮮でいいな。カーディガンもかわいいけど、桜ちゃんこんなやつ持ってたよな?」

桜「うん・・・ていうか覚えてくれてたんだ。嬉しい。」

雄「かわいかったからなぁ。それでさ、そのカーディガンと、どういうところが違うんだ?俺には、あんまり違いが分からないんだけど・・・」

桜「模様とか色は同じなんだけど、こっちの方が一回り大きいんだよね。」

雄「そうなんだ?」

桜「そうだよ。だって・・・ほら。」


とカーディガンに袖を通す。

確かに桜ちゃんが持ってるやつより長かった。


雄「ほんとだな。」

桜「そうなんだよぉ・・・このサイズなら今までできなかった組み合わせもできるし、このワンピースとも合わせられると思うんだけど・・・」


うわ、それ見たい。でも片方にしないといけないし・・・あれ?なんでんだ?そういえば聞いてないな。


雄「そういえば、なんでどっちか選ばないといけないんだ?」

桜「え~~~っと・・・その・・・今月分のお小遣いが少なくなってきて・・・片方が限界なんだよね・・・」


と、恥ずかしがりながら教えてくれた。

なるほど、そういうことか。なら・・・


雄「それなら・・・桜ちゃん、両方俺にプレゼントさせてくれない?」

桜「へ?・・・え!?そんな、悪いよ!」

雄「嫌?」

桜「う、嬉しいけど・・・」

雄「ならさ、俺にかっこつけさせてくれない?最近デートできてなかったからお金は余裕あるんだよ。それにお仕事お疲れ様のご褒美もかねて、な。」

桜「う、うん。じゃあ、お願いします・・・でも、何かお礼させて!」


お礼、なぁ・・・・・・あ、いいこと思いついた。


雄「じゃあさ、桜ちゃんのファッションショーが見たいな。」

桜「?・・・あ、あれね!了解いたしました!!」

雄「ありがとう・・・じゃあ、かわいい姿いっぱい見せてね?」

桜「!!!!???」


真っ赤な桜ちゃんかわいい。


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side桜


雄「じゃあ、いっぱいかわいい姿見せてね?」

桜「!!!!???」


ふわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!???

耳!!!耳元で!!!イケボで囁き!!!!

ムリいぃぃぃ!!ムリだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

雄くんも私が耳弱いってわかってるくせにいいいぃぃぃぃぃ!!!


桜「むうううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

雄「うおっ」


私はとっさに雄くんに突進した。


雄「どしたの」

桜「ううううううううううううぅぅぅぅぅ・・・」


私は照れ+恥ずかしさ+嬉しさのトリプルコンボで語彙力を失ってしまう。

顔も絶対真っ赤だし、人前で雄くんにおもいっきり抱きついている。

あ~~~~~恥ずかしい!!雄くんも人前ですることないじゃんか~~~!!

あ、あとで二人きりの時に優しく・・・じゃなくて!


されていることは嬉しいはずなのに、照れとか恥ずかしさとかがごっちゃになって不機嫌になってしまう。うう・・・こんなことしたいわけじゃないのに・・・


ぽん・・・なでなでなでなで・・・ぎゅっ・・・・


ふぁ?・・・えへ、えへへへへへへへへへへへへへへへへぇ

雄くんのなでなでぎゅー、しゅきぃぃぃ・・・

・・・はっ!?また雄くんにうまく誤魔化されてる!?


桜「うううぅぅぅぅぅ~~~~~~・・・」

雄「フフッ・・・かわいいなぁ。」


なでなで・・・なでなで・・・ぎゅ~~~。

ううぅぅぅ、あううぅぅぅ、ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・

やっぱり勝てない!・・・ううう、死なばもろとも~~~!!


桜「んっっっ!!!!」

雄「おおっ」


私は思いっきり雄くんに抱き着いた。これをすると、少しだけ羞恥心が減る

・・・ような気がする。気がするだけだし、周りの目は気にしない。

だって気にしたら恥ずか死するし。どちらかというと私が。


店「つ、次の方~~・・・どうぞ~~・・・・・・」


ほらぁ!!店員さんの呼びかけも尻すぼみになってるぅぅぅ!!!

周りから絶対生暖かい目で見られてる!!恥ずかしすぎて振り向けないぃぃ!!!


雄「すみません。これお願いします。」

店「はい。こちら二点で5,780円になります。(うっわイケメン!)」

雄「6,000円でお願いします。」

店「220円のお返しです。ありがとうございました。(あれ彼女さんの服だよね?さらっと6000円出してたけど・・・もしかしてプレゼント!?)」


私が悶えてる間に支払いも袋詰めもしてくれた。

・・・なんか今日特に雄くんにいろいろもらってばっかりだなあ・・・あうう


桜「あ、ありがとう。その、プレゼント、なんだよね?」

雄「そうだよ。・・・どした?」


うう、恥ずかしさが引いたら罪悪感が・・・


このままでは女が廃る!!しっかりお礼をしなくては!

そうと決まれば即実行!良い事と数量限定は急ぐが吉!


桜「雄くん!!」

雄「はい!?」



あ、そういえば雄くんのびっくりした顔なんて久しぶりに見たかも。

・・・じゃなくて!お礼を考えないと・・・でも、何にしようかな?


私は迷っていても仕方ないと周りを見渡した。

そして、一軒のクレープ屋さんを見つけた。


そういえば、あのお店って雄くんのお気に入りだったような・・・

やっぱり!マザークレープだ!よし、あそこに決めた!


桜「あそこでクレープ食べてかない!?私におごりで!」

雄「おおぅ・・・?」


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side雄太


桜「あそこでクレープ食べてかない!?私におごりで!」


・・・・・・いやなんで?


雄「おおぅ・・・?」


びっくりしすぎて変な声出た。

桜ちゃんの行動がいきなり過ぎるぞ・・・流石に予想外すぎて訳が分からん。

いきなりクレープおごるって桜ちゃんお金なかったんじゃ・・・


あ、そうか。お礼か。ファッションショーがいいって言ったんだが・・・

桜ちゃんがそれだけじゃ足りないって思ったのか。まあ、桜ちゃんらしいな。

しかしクレープか。お腹は空いてないんだよな・・・でもここで断ると桜ちゃん不機嫌になるし、何より桜ちゃんが一生懸命考えてくれたからなるべく断りたくないんだよな・・・


でもクレープ・・・ん?あれは・・・マザークレープ!?


雄「マジかよ。」


こんなところにあったのか!

そうとわかれば別腹発動!何が何でも食べる!ホイップカスタード!!


桜「どうかな?もしかして・・・」

雄「最高すぎるぞ桜ちゃん。やっぱ桜ちゃんて女神だよな。」

桜「め、女神って・・・えへへ。覚えててよかった。」


マジか覚えててくれてたんだ・・・ヤベ、泣きそう。


桜「そんな泣くこと!?」


もう泣いてたわ。


雄「うん・・・ありがとう。桜ちゃん。これは靴もかばんもプレゼントしなければ・・・あとアクセサリーも・・・」

桜「そんなに貰えないよ!?ていうかお礼がまた増えちゃうから!」

雄「同じプレゼントも感動次第で価値は何倍にも跳ね上がるからな?」

桜「それはわかるけど・・・」

雄「なら、そういうことだ。まあ、桜ちゃんの迷惑になるからしないけど。」

桜「わかってたんだ。」


当たり前だ。こちとら何年桜ちゃんの彼氏やってると思ってる。

とはいっても、この感動をどうお返ししたものか。このまま何もしないってのだけは、やりたくないな。


桜「とりあえずクレープ食べようよ。」

雄「そうだな。」


さて、ホイップカスタード~~~~。・・・売り切れてないかな。

売り切れてたら泣く。ガチ泣きする。


桜「雄くんはホイップカスタードだよね。」

雄「Yes!!!!で、桜ちゃんがチョコバナナだよね。」

桜「Yes!!!・・・えへへ。」


俺の真似する桜ちゃんかわいい。あと『えへへ』のニヤケ顔もかわいい。


はっ!?桜ちゃんのかわいくない顔なんてないのでは・・・!?

・・・今更か。


店「ご注文どうぞ~~。」

桜「え~っと、チョコバナナとホイップカスタード一つ!」

店「わかりました。少々お待ちください。」

桜「・・・えへへー、注文終わったよ~~」


桜ちゃんの笑顔がまぶしい。あとかわいい。

嗚呼、拙者は幸せ者で御座います。


と、心の中で戦国時代の侍になって(?)いたら、女性の店員さんが声をかけてきた。


店「あの~、すみません。」

桜「はい。え~っと、どうしました?」

店「人違いなら申し訳ありません。咲良アリサ様でしょうか?」

桜「はい!咲良アリサでーす。」


と、とびきりの笑顔営業スマイルを披露する桜ちゃん。


うおう、やんごとなきオーラが・・・めっちゃ眩しい。

くっ・・・桜ちゃんの彼氏でありながら、俺も一般人だったということか・・・


と思いつつも、頭の片隅では『やっぱり有名だな』と思う雄太である。


店「やっぱり!私ファンなんです!いつも見てますよ!」

桜「応援ありがとうございます!これからも頑張ります!」


と、女の子同士で盛り上がっている。

・・・なんだろう、場違い感がすごい。まあ、仕方ないことではあるんだけど。


っと、順番か。あっちはしばらく続きそうだし、取りに行くか。

さてさて、ホイップカスタード~~♪


店「サインいいですか!?」

桜「すみません、プライベートじゃちょっと・・・」

店「そこを何とか・・・!」

桜「う~~~ん・・・」


お?なにやら桜ちゃんが困ってるな・・・流石に介入するか。


雄「あの~、ちょっといいですか?」

店「はい。なんでしょうか・・・?」

桜「雄くん・・・!」


店員さんは何やら困惑しているようだ。まあ、そりゃそうだよな。知らない男がいきなり介入してきたわけだし。


雄「いきなりすみません。の彼氏の堺と申します。」

店「あ・・・!あの彼氏さんですか!?いつもアリサちゃんがラジオで惚気ているので、どんな人か気になってなんです!お会いできて光栄です!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何それ?


・・・え!?ちょっと待って!?桜ちゃん!?どういうこと!?


桜「えへへ・・・(ごめんなさ~~い!!><)」

雄「はあ・・・(・・・まあいっか。ーー)」

桜「アハハ・・・(ありがとうございます~~!!><)」


全くもう・・・理由は後で聞くとして。


雄「僕のこと知ってたんですね・・・」

店「はい!アリサーの間では有名ですよ!」


マジか・・・

あ、因みにアリサーってのは桜ちゃんの根強いファンの総称ね。


雄「そうなんですね・・・それで、サインのことなんですが。」

店「はい。」

雄「実はの所属する事務所では、プライベートで個人に渡すサインは禁止しておりまして。」

店「あ、そうなんですね・・・すみません。知らずに詰め寄ってしまい・・・」


ったく、あの事務所は・・・


雄「いえいえ、これは事務所のミスですから。そこでなんですが、向けてのサインはできませんが、お店に飾るという場合なら可能ですよ。」

店「お店・・・なるほど!いらっしゃった証拠に、ってことですね!」

雄「はい。それなら事務所の規定に触れませんので。それでよろしいですか?」

店「はい!お願いします!」

雄「わかりました。てことで桜ちゃーん。」

桜「は~い。あ、でも今日ペンも色紙も持ってなくて・・・雄くん持ってる?」

雄「ペンは持ってる。流石に色紙は持ってないけど、店員さんは両方持ってるんじゃない?」

桜「え?」

店「ここにお願いします!」


その手にはペンと色紙が。


桜「わっ」

店「?どうしました?」

桜「いえ・・・いつもの予言推理です。」


いや予言推理って何!?てか、桜ちゃん!あんたどこまでしゃべってんの!?

・・・聞かなきゃいけないことが増えたな。


店「あ、なるほど。また言い当てられたんですね。」

桜「そうなんです。いつもびっくりするんですよ~」


と言いながら、桜ちゃんは慣れた手つきでサインをする。

たくさんサインしてきたんだな・・・


・・・てか店員さんも予言推理って言葉知ってんのかい!!

なんというか・・・流石アリサーってやつなのか?


なんてアホなことを考えていると・・・


店「あの~、堺さま。すこしよろしいですか?」

雄「はい。どうしました?」


さっきの店員さんが話しかけてきた。

俺に用事?なんでだ?


店「すみません。お二人でご来店いただいた記念として堺さまにもサインをいただきたくて。」


・・・え!?俺!?


雄「僕もですか・・・?」

店「はいっ!是非、お願いします!」


んなこと言われてもなあ・・・だって俺、有名人じゃないし・・・


桜「雄くんはもう有名人だよ?」


確かに知らないうちになんか有名人になってたな。

・・・そういや、あんたのせいやないかい!


・・・ここは覚悟を決めるしかない、か。


雄「・・・わかりました。俺はどのあたりに書けばいい?」

桜「うんとね、こことか、あとこことかかな。」


俺は桜ちゃんの支持道理にサインする。

サインの形?んなもん即興で考えたに決まってるだろ。


雄「・・・これで大丈夫ですか?」

店「はい!ありがとうございます!」


ふう、全くとんだ災難だったな・・・


桜「次は靴屋さんに行こう!!」

雄「りょーかい。」


そうしてデートは続く・・・


帰ったら絶対問い詰めてやる、と心に決めながら。

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