MAIN STORY 3 - 1 天才と女優の放課後デート ゆとすみ編 side優斗・菫
店=店員
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side優斗
自己紹介した日の放課後。
僕と菫は、学校の近くの大型ショッピングモールにいた。
今日は待ちに待った僕らの放課後デートの日。
実は最近、菫の仕事が忙しくなってなかなかおでかけデートが出来なかったんだよ。
お仕事がたくさんもらえるのはいいことだし、おうちデートはたくさんしてたから不満は一切ないんだけどね。
でも、やっぱり女の子の着飾る姿っていいよね。好きな女の子なら特に。
みんなもわかってくれるかな?
ちなみに今日の菫は、藍色のぴったりしたジーンズに、無地のアイボリーのTシャツ。その上にGジャンに黒スニーカーと、菫ならではのイケメンコーデだ。
菫は身長170cmと女子の中ではかなり高いから、スタイルがいいのも相まって足がめちゃくちゃ長く見える。というか実際長いのだろう。
ぴったりしたズボンをスラっとはきこなし、ジージャンも雑誌のモデルよりかっこよく着こなす。
・・・やっぱりイケメンだなぁ、菫は。時々男としての自信がなくなるよ・・・
優「・・・・・・」
菫「うん?優斗、どうしたんだい?」
どうやらガン見していたらしい。菫が不思議そうに首を傾げる。
そういう仕草はめちゃくちゃかわいいんだよなぁ・・・
やはり『かっこいい』と『かわいい』を両立したうちの彼女が最強なのでは。
流石に全女性の中で一番とは言えないけど、(あ、僕の中では全女性の中で一番だと思ってるよ)少なくともイケメン女子の部類のなかでは一番かわいいね。
優「ごめん。ちょっと・・・見惚れてた。」
菫「ホントに?」
優「・・・うん。すごく似合ってる。綺麗だよ。」
菫「フフッ、ありがとう。」
あ~~恥ずかしい!
一気に顔が熱くなる。
菫「ねえ、具体的にどんなところが似合ってる?」
優「え」
まさか掘り下げられるとは思ってなかったな・・・
しっかし、困ったな・・・似合うところがありすぎる・・・
うーん、まずなんていっても「イメージにピッタリだなぁ。菫のクールでかっこいいイメージにジージャンが似合うんだよな・・・それに菫は脚が長いからぴったりしたズボンのはきこなし方がヤバいんだよな。いやほんとに雑誌とかのモデルよりよっぽど似合うしな。しかもアイボリーのTシャツの生地がニットっぽいから体のラインがあんなにくっきり・・・ヤバいこれ以上はまずい。よくない。ただ・・・そこで女の子な感じが出てるしなんかもういろいろ洗練されてるな・・・流石菫、なのかな。やっぱりすごいなぁ、菫は。」・・・あれ、もしかして声に・・・
菫「~~~~~~~~っっっっっっ!!!!!!///////////」
菫の顔が真っ赤です。ということは・・・
しっかり出てました・・・
あ~死にたい。めっちゃ恥ずかしい。
菫「・・・・・・・・・あ、あの、優斗・・・」
優「え、は、はい!?」
ぼ、僕まだ回復できてないんだけど・・・!
菫「その・・・ありがとう。」
優「~~~~~っっ!!!い、いや、その・・・どういたしまして?」
はい、死。
キュン死です。キュン死確定です。ありがとうございました。
というか、こういう時なんて返すっけ?
菫の破壊力がすごすぎて頭からどっか飛んでっちゃった。
それよりも周りの人全員に聞こえてたよね。アレ・・・やっぱ周りの人全員こっち見てる!!しかも生暖かい目で!!
あーーーーマジか!!!うっわ恥ずかしい!!メッチャ恥ずかしい!!
あ~~~、顔が熱い・・・
優「と、とりあえず、何かおやつ食べない?そ、そこのカフェに入ろうよ!」
菫「そ、そうだね!そうしようか!」
その場の空気に居たたまれなくなった僕たちは、視界に入ったレトロなカフェに入ることにした。
菫「わぁ・・・いい雰囲気だね、ここ。」
このカフェの名前は『TUTUJI』というみたいだ。
木製の壁や天井と暖かい色の間接照明、ところどころに飾ってあるアンティークや絵画がいかにも昭和な喫茶店みたいな感じがして、すごく落ち着く雰囲気のカフェだ。確か菫の好みはこんなカフェだったはず・・・
菫「いいねぇ・・・私好みな雰囲気だよ。気に入った。」
良かった。気に入ってくれたみたいだ。
菫は趣味としてカフェめぐりをしており、気に入ったカフェをよく自分のブログに上げている。因みに僕も見ている。
先日、『ふと調べたら、家から5キロ圏内のカフェのうち98%はもう行ったことがあるみたいだ』と、言っていた。
だからここもすでに行ったことがあると思っていたんだけど・・・
菫「へぇぇぇ、いいな、これ・・・あ、ここからの画角最高だな・・・」
と、呟きながら写真を撮りまくっていた。あれ?行ったことないのかな?
あ、でも菫の上げた写真の中にはこんなカフェなかったような・・・?
まあでも、僕も全部チェックしてる訳じゃないし・・・まあいいや。
優「菫。ここにカフェって初めて?」
菫「うん。実はそうなんだよ。ここは先月にオープンしたところでね。行きたいと思っていたんだけど、仕事でなかなか行けなくて。今日、買い物の後に付き合ってもらおうと思っていたんだけど、先に来ちゃったね。今は二人きりだし、だれかきちゃう前に早く写真撮ろうか。」
そうだったのか・・・というか二人きり・・・なんか照れるな・・・
ん?写真『撮ろうか』?えっ『撮らせて』じゃなくて?・・・もしかして
優「もしかして・・・僕を撮るってこと?」
すると菫は『あっ』という顔をした後上目遣いで、
菫「お願い!優斗を撮らせて!」
とお願いしてきた。しかも瞳をうるうるさせて。
全く・・・こんなお願いをされて断るなど言語道断!自分の愛しの最高にかわいい彼女にこんなお願いをされて断る彼氏がいようものか!(いやいない。)
ということで即決で『Yes』だね。これは。
優「いいよ。僕なんかでよk 菫「ダメだよなあ、やっぱり。いや、優斗も一般人だからプライバシーのこともあるし無理やり撮るわけにはいかないしな。」 ・・・いや、撮っていいよ?いやだってそんなおねがいされt 菫「お願いもわざとらしすぎたよなぁ。あ~~柄にもないことをしたなぁ。ごめんね、優斗」 ・・・いやだから撮っていいってb 菫「次からはさそはないかr 優「撮っていいっば!」 ・・・え?いいの?」 うん。だから、撮っていいよって言ってるじゃないか。」
うちの彼女こんな自己肯定感低かったっけ。
それとも柄じゃないことして不安になっただけかな?
でも、たとえ柄じゃなくても好きな人にお願いされてことなんてできないよね。
今回も、なんか法に触れることとかじゃないわけだし。
菫「・・・ほんとに?ほんとにいいの?」
優「もちろん。」
菫「ありがとう!!!本っっっっっ当にありがとう!!!」
と感極まった様子でお礼を言われた。
そんなに不安だったのかな・・・なんでだ?
優「どういたしまして。・・・っと、それで、どこで撮る?」
菫「う~ん、と・・・ここで、左向いて・・・うん、オッケー。」
優「どんな表情をするとかある?」
菫「興味深そうな表情かな。なんかこう・・・不思議なものを見つけた、みたいな表情がほしいかな。」
う~ん。興味深そうな表情、か・・・難しいな。
・・・ん?なんだ、あの絵?トリックアートだよな、多分。にしても、いくつも柄が見えるな。脳に大樹に・・・あれは横顔かな。それに・・・龍?
お、下に説明があるな。なになに・・・『この絵は複数の図柄が見える不思議な絵画です。絵柄は全部で5つ。あなたにはいくつ見えるかな?』って・・・
え~っと、僕は4つ見つけたから・・・残りあと一つ、か。
・・・おもしろい。絶対に見つけてやる!
菫「・・・はぁ~~~よかった!すごく良かったよ、優斗!」
うぇ!?・・・あ、そうだった。撮影してたんだった。忘れてた。
優「あ、うん、それならよかった。それで、撮った写真見てもいい?」
菫「ああ、いいよ。ん~っと、はい。これ。」
優「ありがとう。・・・おお、めっちゃオシャレだね。」
うちの彼女のカメラワークがうますぎる件について。
ここに写ってるのは僕のはずなのに、何故か僕と同じ格好をしたモデルのように見える。それだけ菫の撮影が上手ってことなんだろうなぁ。
菫「気に入ってもらえたかな?」
優「うん、すっごく。」
菫「それはよかった・・・それで、この写真をブログに上げてもいいかな?」
ブログかぁ・・・う~ん、どうしようかな・・・
優「それは、だれでも見れるやつ?」
菫「いや、有料のやつだから会員になってないと見れないよ。誰でも見れるものには内装だけ撮ったものを上げるつもり。」
そっか、なら安心だね。
優「わかった。いいよ。」
菫「ほんとに!?ありがとう!」
と、満面の笑みで喜んでくれた。この笑顔、プライスレス。
撮影も一通り終わったところで、僕らは『何か食べていこう』ということになった。
幸い他に誰もいないので、窓際の席で楽しむことにする。
さて、何頼もうかな・・・とは言ってもそんなお腹空いてないんだよなぁ。飲み物だけにしようかな・・・通なやつとかあるのかな。
優「じゃあ・・・カフェオレにしようかな、無糖の。」
僕の定番なんだよね、無糖のカフェオレ。
微糖って店によって加減が違うし、ブラックはまだ飲めないから、無糖のカフェオレがちょうどいいんだよな。
菫「お、いつものだね。じゃあ私は・・・シンプルにパンケーキにしようかな。」
優「飲み物はどうする?」
菫「優斗と同じ無糖のカフェオレで。」
おそろいか・・・なんかうれしいな。
優「わかった。すみませーん。」
店「はーい。ご注文をお伺いします。」
優「無糖のカフェオレ2つと、パンケーキをお願いします。」
店「承知しました。パンケーキはシングルでよろしいですか?」
あ、そういえば聞いていなかったな・・・
菫「はい。シングルでお願いします。」
店「承知しました。カフェオレの無糖がおふたつとパンケーキのシングルがおひとつですね。ご注文は以上でよろしいですか?」
優「はい。・・・いい?」
菫「はい。」
店「畏まりました。しばらくお待ちください。」
流石菫だな・・・対応がスマートすぎる。やっぱりかっこいいな。
・・・こんなこと言うと菫が不機嫌になるから言わないけど。
菫「ありがとね。最後確認してくれて。」
優「うん?ああ、うん。どういたしまして・・・」
菫「なんか腑に落ちない顔してるね。どうしたの?」
優「まあ、確認は当たり前のことだから。お礼を言われることじゃないしね。」
菫「そういうとこ私はすごく好きだな。」
いや、パートナーに確認とるのって普通のことだよね?
ああ、でも男性って自分で決めたい人が多くて、女性は相談してほしい人が多いんだっけ・・・この場合はちょっと違う感じもするけどね。
優「ありがとう。僕も、菫の思いをストレートに伝えてくれるところ好きだよ。」
菫「あ、ありがとう・・・優斗も手ごわくなったね。」
優「菫に鍛えられたからね。」
菫「むぅ・・・なんか複雑だな。」
菫が少しむくれる。ああ、かわいい。
店「あ、あの~、
菫「うん?ああ、はい。純玲です。」
店「やっぱり!私、大ファンなんです!」
菫「いつも応援ありがとうございます。」
お~~、菫はやっぱり人気者だなぁ。
特に若い女性の知名度なんてすごいんだろうなぁ。
店「あ、あの!サイン頂いてもいいですか!?お店に飾らせて頂きたいんです!」
菫「構いませんよ。ああでも、今、色紙もペンも持ってなくて・・・」
店「あ、はい!今、持ってきます!・・・これで、お願いします!」
菫「わかりました。・・・はい。これでいいですか?」
店「ありがとうございます!・・・もしかして、
菫「ああ、はい。上げさせてもらいました。ですが、スタッフの皆様の顔は入っておりませんのでご安心ください。」
店「そこは心配しておりませんよ、私もブログは見ていますので。それよりも、純玲さんにオススメしてもらったカフェは絶対に人気になるんですよ~。」
へ~、そうなんだ。てことは、
・・・うちの彼女の影響力が凄い件について。
店「…それで、そちらの方は彼氏さん、ですか?」
菫「ああ、はい。そうなんです。」
ん?なんか僕のことが話題に上がってる?
店「…あの~、すみません。」
優「?はい、なんでしょうか?」
店「え~っと、純玲さんの彼氏さん、ですか?」
優「はい。菫とお付き合いさせて頂いてます。(キラキラ)」
店「じ~~~~~~~~~(うっわイケメンだな~。でもどこかで見たことが・・・あ、思い出した。純玲さんの有料サロンに時々写っている人だ・・・)」
優「ええっと・・・どうかなさいましたか?」
店「あ!?いえ、何でもありません!すみません!」
なんか店員さんにめっちゃ見られてた。
な、何か変だったかな・・・もしかして、『お前は菫に彼氏は似合ってない』ってことなのかな・・・!?そ、そうじゃないと思いたいんだけど・・・
店「お二人ともとってもお似合いですね!」
菫「ありがとう。よかったね、優斗。」
あれ?そうではない感じだな・・・むしろ褒められてる・・・
この言葉が本心なのか、お世辞なのかはわからないけど。
優「ありがとうございます(ニコッ)」
店「い、いえ!・・・(顔面SSRだ・・・しかもさっきちゃんと純玲さんに確認取ってたから気遣いはできるだろうし、運動もできそうだな・・・ヤバ、優良物件すぎん?そりゃ純玲さんでもない限り捕まえられないだろうなぁ、こんな人)」
う~ん、そんなにまじまじ見ないでほしいな・・・
なんか照れるし、何より菫が怖い。
店「え?あ、はい!・・・お待たせしました。無糖のカフェオレ2つとパンケーキです。ご注文の品は以上でよろしかったですか?」
優「え~・・・はい。僕は大丈夫です。・・・菫は何かない?」
菫「うん。私も大丈夫。」
優「わかった。大丈夫です。ありがとうございます。」
店「いえいえ、それではごゆっくり。」
僕らはそのあとゆっくり・・・というわけではないけど、しっかり味わって食べた。
素朴な味がおいしかったなぁ。『素朴でおいしい』と菫もご満悦だった。
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side菫
菫「あ、あの服かわいいね。」
優「ほんとだ。あ、あの服菫に似合いそうだね。」
菫「そう?ありがとう。」
ああ、今日の優斗はカッコいいなぁ。ほんとにカッコいいなぁぁぁぁ・・・!
今日の優斗は、黒のストレートパンツに、紺色のTシャツとその上にアイボリーのジャケットを羽織っている。カッコいい。
私のシミラーコーデになっている。そういうところもポイント高い。カッコいい。
しっかし、優斗の心の声が漏れるとは・・・あの破壊力はとんでもなかったな。
ほんとに心臓が破裂すると思ったよ・・・なんとか『ありがとう』って返せたけど演劇してなかったらマジで行動不能になってたね、絶対・・・絶対。
そのあと優斗とカフェで一休みした後、今はこうしてウインドウショッピングをしている。このショッピングモールは服に靴にアクセサリーと何でもそろっているからウインドウショッピングが捗るなぁ。
とはいっても私は買い物短い方なんだけどね。たぶん。
桜は私の数倍はかかるね。女の私でも疲れるくらいだよ。あれについて行ってる雄太君はすごいよ、本当に。
優「どうしたの?なんか遠く見てるけど・・・」
菫「あ、うん。大丈夫。桜に買い物に付き合わされた時のこと思い出してた。」
優「ああ、あのメッチャ疲れてた日?」
菫「そう。あの時はほんっとに疲れたなぁ。」
というか覚えてくれてたんだ・・・嬉しい。はぁぁぁぁぁぁぁぁ、優斗好きっ!!
っと、この店いいな。入りたい。
菫「あ、ここ入っていい?」
優「いいよ。いこっか。」
あ、これいいな。う~ん、そうだ!
菫「ねえ優斗。」
優「うん?どうしたの?」
菫「これとこれ、どっちがいい?」
さて、ここで優斗に問題だ!優斗はわかってくれるはず!
何を隠そう優斗はこの問題を全問正解しているのだ!だからわかってくれるはず!
優「う~ん、こっちかな。どっちも似合うけどね。」
菫「お、こっち?そっか。ありがとう!」
やっぱり正解してる・・・流石優斗!好きッッッッッ!!!
因みに現在87問中87問正解している。本当に、なんでそんなにわかってくれるんだろう・・・?でも、聞いても教えてくれないんだよな・・・
菫「ねぇ、なんでそんなにわかるんだい?」
優「う~ん、秘密♪」
優斗かわいい♪じゃなくて、なんで秘密にするんだろう。
菫「なんで教えてくれないのさ?」
優「教えたら対策されそうだからね。」
う、確かに対策しようとはしてたけど・・・ていうかそこまで見抜かれてるのか。
なんというか、流石天才・・・と言ったら怒るかな?
そのあとは靴を見てアクセサリーを見て、そこでイヤリングを買ってもらった。
結論、とんでもなく嬉しかった。年甲斐もなく飛び上がって喜んでしまった。
優斗にも窘められてしまった
ただ、そのシーンは人生で一番恥ずかしいから割愛さえてもらう。
ホントに割愛させてッッッッッッッッッッッ!!!!!!
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