第9話 青年の証言


 なんかS県の気味悪い話について調べてるってSNSで見かけて、俺もそういう目にあった事があるからメッセージ送ったんですよ。こうして連絡取ってもらえて嬉しいです!

 え、名前ですか? じゃあモリでお願いします!


 そうなんですよ、めちゃくちゃ後からじわじわ怖くなるような目にあったから、掲示板とかに書き込もうかなーとかも思ってたんですけど、それも面倒で(笑)


 文章力とかないし、俺。だから記事にしてくれる人がいるんならしてもらった方が楽だなーって。


 あ、どうでもいいようなことばっかり話してすみません。やっとこのネタ話せると思ったら楽しくなっちゃって。じゃあ話しますね。


 丁度一年くらい前の話なんですけど、当時俺、友達と徹夜で車内麻雀やってたんですよ。仲間内で金掛けて。


 そんで、深夜になって麻雀ももうやり飽きたって事で、友達と一緒にドライブがてら適当な所まで行ってみようぜーって話になったんです。

 まあ、肝試しみたいな感じですよね。


 で、今から車を出して最初に俺たちの車の前を走る車の後を追いかけようってことになったんですよ。


 ナンバーとか覚えてませんけど、銀色のハイエースだった気がしますね。


 普通の車ですよ。


 それを追いかけて、当時俺たちがいたのはO市内の駐車場だったんですけど、そこからナビもなしでハイエースの車を追いかけることにしたんです。


 N方面に向かって走ってたと思います。


 え? いや〜N県には行く機会なんてありませんね。だから新鮮でしたよ。この車どこまで案内してくれるんだろーって。


 まあその辺りの一軒家とかアパートの駐車場に行くんだろうなーって思ってたから、正直大した期待はしてなかったんですけどね。


 それで俺たちの全く知らない土地まで来て、当然深夜だしライトつけて走ってるじゃないですか。


 そしたらその車が右折して、ちょっと山手の方? に向かっていったんです、お、これはいい線行ってんじゃない? と思って、ニヤつきましたね。


 山ってなんか怖いこととかありそうじゃないですか。だから、山奥に入ってもらって、ワンチャンなんか怖いこと起きないかなーみたいな。


 田舎なんてやること無いですから。だからまあ、そういうのが遊びみたいになっちゃうんですよね。


 で、めっちゃでっかい赤い鳥居をくぐっていったんですよ。そのハイエース。あの道の端と端に立つ鳥居です、道を鳥居の真ん中にしてるみたいなやつ。分かります?


 で、俺も友達も盛り上がったんですよ!

 これ絶対やべーとこ連れてってくれるーって。


 その後、なんか屋台がずらーって並ぶ道にハイエースが入って行って、あ、当然深夜だし屋台は開いてないですよ、ただもう屋台がずらーって並んでるのは分かるんですよ。


 そのあと、ハイエースがちょっとスピード出したんで、俺たち話してる間にハイエースどんどん進んじゃって。


 慌てて追いかけたら、岩で作られたような鳥居があったんですよ。目の前に。さっきの赤い鳥居とおんなじくらいの大きさの。

 でもその先ってめっちゃ真っ暗なんです。気づいたらハイエースの姿なんてどこにもありませんでしたよ。


 え、気味悪すぎでしょ。ハイエースの姿どこにも無いし、正直連れて来られちまったーって、後をつけたの後悔しましたよ。


 慌てて携帯のナビで場所確認したら、K市内のK神社ってとこの目の前でした。


 あれ以来、前の車を追いかけるなんてことはしないようにしてます。


 だって、あそこの近くで変死体見つかったの、ついこの間の話ですし。


 

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