第4話 お狐様


 S県の神社の中でも有名なとがK市にあるK神社っとですよ。

 

 まあ、私らS県の住民からしたら、三大稲荷なんて呼ばれてるあすこは、本当に立派なもんですよ。


 稲荷ってえいうと、まあ商売繁盛がぁ有名なんですかねえ。


 そんなん言うても、初詣なんかになるとそりゃあもういろんなところからばあーっと人が来なさるでしょう。


 もうあすこは年末年始大所帯で、民族大移動のごたっですよ。


 ああ、そいでねえ、いっちょ話のあるとですけど。


 私が知っとるK先生て※1がおってからですねえ。


 そのK先生が言うには、どお〜も、お狐様ていうとは、そいは好奇心旺盛てです。


 一日のあいだにたくさんのお狐様がうまれて、稲荷神社の結界内で過ごすらしかですよ。


 そいで、お狐様はとにかくよおー人ば見とらすとて。


 中には、人に参られることに恍惚感を得てしもうて、お狐様としてのお役目を忘れてしまう狐さんもおるらしか。


 お狐様はあくまで神様の御遣いやけん、お役目を忘れたらいかんらしかですよ。


 そういうお狐様は、どんどん良くないものになっていくらしくて、そういうお狐様が人に憑くとてです。


 それが「狐憑き」のことて仰ってました。


 ああ、狐憑きは分かいしゃっですかね?


 狐憑きはSでは多かとですよ。特に子どもに。


 私の周りでも起こった狐憑きの話ばしましょうかね。


 ああ、そういえば、足元に何もなかとに転びやすくなったら注意した方が良からしかですよ。


 何もないとに転びやすい時は、大概動物霊がついとるときらしかです。


 これも合わせて、ちょっと話ばしてみましょうかねえ。



 ※1……地域でいう霊能者、霊能力に通じている者

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る