ツン×ツン百合カップルが成立するまで
御花工房
ツン×ツン百合カップルが成立するまで
……はぁ、うるさい。
冬休みにわざわざ学校へ来てまで、どうしてこうも騒がしいのかしら。
今日は期末テストで赤点を取った生徒が補習を受ける日。
年末にも関わらず、学校に来なければいけなくなった十数人の生徒達が気怠そうに、あるいは堂々と話しながら授業を受けている。
「おいそこ、うるさいぞ」
先生が私の心を代弁する。
「えー、だって全然分かんないし」
そもそも理解しようとしていないだけでしょう。
どこかのクラスのいわゆるギャルが2人、全く授業を聞かずにただただ喋っている。
「お前らなぁ……とりあえず今日はこのプリントやったら帰って良いから。あ、あとこっちは追加の課題な」
「マジ?うわめっちゃだるいじゃん」
「あー……それから
「はい」
先生に呼ばれたのは私、
手招きしながら教室を出ていく先生を追う。
教室の扉を出てすぐ、先生は内緒話をするような雰囲気で話かけてくる。
「いやほんとすまないな。復習のつもりで来てもらったんだと思うが、うるさくて集中できなかっただろ」
「はい。でもまぁ、聞きたかったところは聞けたので大丈夫です」
「そうか。周りもお前みたく真面目に勉強してくれたらなぁ」
そう、私が補習を受けに来た理由は赤点を取ったからではない。
むしろ入学から8カ月、ずっと学年1位をキープしている。
「それで、用件はそれだけですか」
「あぁ、それなんだけど……」
先生は少々ばつの悪い表情をしながら切り出す。
「
「……誰ですか?」
「後ろで寝てたやつがいただろう?」
そういえば、確かに居た。
喋っていたギャル2人のすぐ後ろで寝ていた、髪がうねった金髪ロングのギャルだ。
クラスが違うから、会話どころかろくに顔も見たことが無い。
「あいつ先生が担任してるんだけど、他のやつと比べて全体的に成績が悪いからちょっと見てやってくれないか」
「それはあなたの仕事では?」
「う、いやでも先生は英語しか教えられないから出来ることが限られてるんだよ。な、ほら、内申点良くしておくから」
わざとらしく両手を合わせて頼んでくるこの教師に、お返しと言わんばかりに私もわざとらしくため息をつく。
「はぁ……別にそういうのいいです。今日だけですよ、どうせ教えてもまともに聞かないでしょうし」
「そうか、助かる!じゃあ教室の鍵渡しとくから、この後からでも使ってくれ」
小一時間程度付き合ってやれば十分か、という気持ちで鍵を受け取る。
そうして教室に戻ると、先ほどの2人のギャルが筆箱やプリントをさっさと仕舞って立ち上がっている。
「ねー、
「カラオケとかも行っとこうよ、混んでるかな~」
2人がかりで揺すられてようやく、もう1人のギャルが起き上がる。
どうやら彼女は
◇ ◇ ◇
え、まじで?
冬休みにわざわざ学校へ来てまで、授業を受けたというのに。
「なんであたしだけまだ残んなきゃいけないの?」
「お前このままだと留年コースだぞ、ちょっとでいいから松瀬に教えてもらえ」
「誰、松瀬って」
知らない名前が出てきた。まじで誰?
「私よ」
「うわ」
誰か知らないけど、いかにも勉強できそうな黒髪ストレートの女。
……の割に、補習受けに来てるってことは赤点取ってんの?
「うわ、とは何よ。私だってこんな面倒な頼み事ごめんだわ」
「そか。じゃあこのまま解散で」
見た目からして合わなさそうだと思ったけど、意見が一致したしじゃあ帰ろう。
「おい待て待てお前ら。柊、本当に今日だけ頑張ってくれ」
えー……さっさと遊びに行きたいのに、まぁでも留年は流石にだるいもんなぁ。
それに、この松瀬って子もあんまり乗り気じゃなさそうだし、さっさと終わらせられそうかも。
ぶっちゃけここで先生と押し問答する方がめんどくさいし。
そんな訳で、あたしは松瀬と2人居残りをさせられることになった。
◇ ◇ ◇
正直、かなり意外だった。
「……あなた、ちゃんと出来るじゃない。なぜ最初からやらないの?」
「え、別に今教えられたとこくらいならそんなムズくないじゃん。てかこのプリント自前で用意したの?」
まずはさっき受けていた英語で、彼女の理解力を試してみようと30分程度教えてみたのだ。
「はぁ?その範囲はさっき授業でやっていたところよ。そのプリントもさっき配られたもの。言われて出来るなら赤点なんてそもそも取らずに済んだじゃない」
「うそ?だって先生普段もっと意味分かんないことばっか言ってるじゃん。あたしがバカそうだからって、簡単なとこだけ教えて出来た気にさせて帰るつもりなんじゃないの?」
「そんなしょうもないことしないわよ。あなたが普段どうやって授業を受けているかは知らないけど、私の説明で理解出来る頭があるなら普通は留年の危機にはならないし、私もこんな面倒に付き合わされることは無かったのよ」
私にこう言われて、柊は何か考えるように黙る。
「……あたしってかしこいの?」
「これまでもっとまともに勉強していたならね。そもそもなぜあなたは勉強をしないのよ」
「いや、だって……」
「……親にバカだって言われ続けたから……?」
理由を考えようとした結果、色々端折って出てきたであろうシンプル過ぎる答えに私は呆れる。
「はぁ……バカね」
「ほら!」
「そんな言葉、真に受けるだけ無駄よ。やれば出来ているんだから、真面目に授業を受けていた頃の自分の実績を自分の頭で評価するべきだったわね。本当にバカよ」
そう言われて柊は流石に頭に来たようだ。
でも私だって事実を言っているだけ。
「はぁ?別にそんなの、遊びに全力の人生の方が絶対楽しいし、あたしは勉強してた方が良かったとか思わないし」
「あなた、塵も積もれば山となるって言葉知ってる?コツコツ勉強を積み重ねていれば今頃は優秀な成績だったでしょうに」
「そんなタラレバの話したってもう意味ないでしょ!」
お互い棘のある言い方で話をしていたからか、それともこの後の自主勉強に使いたかった時間をこんな無駄なことに使わされたイライラなのか、あるいはその両方か。
いつの間にか、私達の言葉は少しずつヒートアップしていた。
「そうね、だから私はバカなあなたをただ憐れんでいるのよ。くだらない遊びに時間を浪費するような女に育って残念だったわねと」
「この……!」
ついに我慢の限界を迎えた柊が立ち上がって右手をあげた。
反射的に私は目を瞑り、歯を食いしばる。
しかし、私の頬にビンタが飛んでくることは無かった。
その代わり。
「ちょっと、急に何なの!」
「いいから!」
いきなり腕を掴まれてそのまま教室の外へ連れ出される。
廊下を足早に歩かされながら、私はこの意味不明な行動に説明を求める。
「あなた、どういう意図でどこに連れて行くつもり?」
「あんた、勉強しかしたこと無さそうな寂しいやつみたいだし、あたしが遊びの楽しさ教えてやるから」
「……はぁ?」
◇ ◇ ◇
正直、かなりイライラしてる。
それなのに、そのイライラの原因を連れ出して遊ぶなんて言い出したあたし自身のことも意味が分からない。
「あんた、スタバとか行くことあるの」
「無いわよ。行く理由も、そんなのに使うお金も」
「……あ」
怒りに任せて出てきたけど、今の言葉でハッとする。
「あんた財布は?」
「だから、あなたが急に引っ張って来たから鞄もノートも机の上よ」
「はぁ!?もっと早くいいなよ!」
「私はずっと声を掛けていたじゃない!」
松瀬の手と自分の鞄だけ掴んで出てきたから、そう言われたらあたしもノートは机に置きっぱだ。
しかも、スタバ行くのかって質問も、スタバの前に着いてから。
「……まいいや。あたしが奢ってあげるから入るよ」
「そんなの良いわよ。ここって高いんでしょう?」
「別に、高校生が普通に寄れる程度の値段だし」
「金銭感覚がおかしいのよ。私こんなのに使うお金なんて無いから、入りたくないわ」
「だからぁ、奢るって言ってんの!」
ムカつく相手にキレながらスタバを奢るシチュエーションってなに?
そう思ったけど、見返してやりたい気持ちと後に引けなくなった状況とで、今日はもうこいつと遊び倒してやるって気持ちが決まった。
順番を待つ間にメニューを見る。
「あたし新作試してみようかな、あんたは?」
蜂蜜をふんだんに使った冬らしいフラペチーノ。
「新作……?うーん、私はあのカフェラテでいいわ」
「は、ダメでしょ。せっかくスタバ楽しむならもっとスタバっぽいの頼まないと」
「人の意見を聞く気が無いなら最初から聞かないで頂戴。ならあそこの期間限定の抹茶のにでもすれば満足?……って高」
「そうこなきゃ!」
「やっぱりいいわ、高すぎるわよ」
「あんた気にしすぎだって。楽しさを理解してもらうために来たのにそんなんじゃあ意味ないじゃん」
「そうかも知れないけど、私はやっぱり」
「はいはい、注文するから」
順番がすぐそこに迫ってる段階で決まって良かった。
自分達の番が回って来てまだ問答が続いたらと思うと迷惑客過ぎる。
「……それからあなた」
「なに?」
「言おう言おうと思っていたけど、いつまで手を繋いでいるつもり?」
そういえば教室から引っ張ってきてからずっとそのままだった。
だって、スタバ入る時も抵抗感丸出しだったし。
「ああ、ごめん」
言われてぱっと解放する。
それきり席に着くまでの間、話題は途切れてしまった。
◇ ◇ ◇
話してみて、少し分かったことがある。
やはり彼女は頭が悪い訳ではない。
学の無さからか常識的な知識が足りていないものの、意外にも人の話を聞く気があったり、多少込み入った話をしてもすぐに要点を掴んでくれる。
それから、家庭環境はあまり良くなさそう。
両親は共働きでその分稼ぎはあるみたいだけど、彼女に関してはほとんど放任。
そういえばさっきの勉強中にも『親にバカだって言われ続けた』と言っていたけれど、もしかすると親から勝手に完璧を期待されて、勝手に失望されていたタイプなのかもしれない。
だから彼女は普段こういう風に誰かと遊んで過ごすのが楽しいのだろうか。
◇ ◇ ◇
話してみて、ちょっと分かったことがある。
松瀬は、結構大変な生活をしてるってこと。
親は離婚していてお母さんしかいないし、それで貧乏だからって松瀬自身もバイトをしてそのほとんどを家に入れてるらしい。
学年1位とかなのに、こんなあたしらの通うような高校に通っている理由も『徒歩で通える高校がここしかなかったから』だし。
電車通学するのもお金がもったいないからってうちの学校に通って、それで足りない分は自力で猛勉強して、給付型の奨学金ってのを貰って良い大学に行きたいって。
将来ちゃんと稼いで、お母さんを楽にしようと思ってるって。
なんか……思ってたよりヤなやつじゃなかった。
◇ ◇ ◇
気が付けば、もうとっくに昼は過ぎている。
初めてスタバを飲んだけど、コーヒー1杯というには凄く重い量で、結局昼食を食べていないにも関わらずお腹はあまり減っていなかった。
「かなり時間が経っているわね」
「意外と語ったね」
スタバの端の席で長話するなんて、当然これも初めてのことだ。
「無理やり連れ出された上に、その相手に身の上話までしてしまって、正直不服だわ」
「……あっそ」
「で、今日はそろそろ解散かしら」
「何言ってんの、まだ全然遊んでないじゃん」
「はぁ……まぁそうよね。今日はもう諦めたわ」
「……なんかムカつくけど、まぁいいや。次どこ行こかな」
そう言うと、彼女はスマホを触りながらぶつぶつと独り言を言い始める。
仕方が無いので、手持無沙汰になった私はとっくに空になったストローを口に付けてお茶を濁す。
……実際抹茶だし。
「んー、この辺だととりまカラオケが丸いけど、あんたあんまり曲とか聞かなさそうだし……」
「服とか見に行くにしてもこの辺イオンとかしかないからな~、かと言って電車乗ったら時間かかるし」
「……あ、そうだ」
不意に何かを思い出した様子で顔をあげる。
「よし、あそこ行こう」
「あそこって?」
「内緒。ほら行くよ」
目的地が決まるや否や、さっさと席を立ったので急いで追いかけて店を出る。
彼女は地図アプリとにらめっこしながらこちらへ向き直った。
「えーっと、あっちの方かな。15分くらい歩くよ」
そう言いながら私の手を取って歩き始める。
……こういう人間ってパーソナルスペースが狭いものなのかしら。
◇ ◇ ◇
気が付けば、もう水族館に着いていた。
初めて来るとこなんだけど、最近リニューアルオープンしたとかでちょっと話題になってたから、今度みんなと行こうかな~と思っていたのを思い出して決めた。
あたしは目的地に着くまでの間に、ゆっくり話しながら歩いたりするのが元々好きだからすぐ着いたなって思ったけど、松瀬はやっぱり時間の無駄だって思ったりしてるのかな。
「着いた。ここだよ」
「水族館……ね、思ったよりまともなとこに来るのね」
「こういうとこなら、あんたもちょっとは興味あるかなって」
「それはまぁ、確かにその通りだけれど」
突然スマホの着信音が鳴った。あたしのじゃない。
「あぁ、ちょっと失礼」
松瀬が制服のポケットからスマホを取り出して通話する。
鞄に入れっぱなしで置いて来た訳じゃなかったんだ。
「えぇ、はい。……分かりました、ありがとうございます」
1、2分程度の事務的な会話ですぐに切ってしまった。
「なんの電話?」
「先生よ。鍵を全然返しに来ないから教室を見に行ったら、広げたままのノートだけ残っていたからどうしたって」
「なる。って、先生と番号交換してんの?」
「まさか。お母さんの番号だけだと仕事で繋がらないことがあるから、私の携帯も学校に登録しているだけよ。」
お母さんって言うんだ。母とか言ってそうなイメージあるのに。
「あーね。で、まさか今から取りに帰ってこいって?」
「そうだけど、今すぐには難しいですって言ったら『今日と明日の朝は先生が戸締り任されてるから、もし遅くなるなら窓の鍵1個だけあけてセコムも切ったままにしとくからなるべく早いうちに持って帰れよ』って」
「……先生ってそんなことしていいの?」
「良いわけないでしょう。教師として最悪よ」
「だよね!?」
先生のヤバすぎる行動にあたしは爆笑した、ていうか松瀬もめっちゃ笑ってた。
普通はあたしらが戻るまで待つとか、明日取りに来いとか言うだろうって。
そもそも警備をオンにしなかったのが履歴とかで確認できるとしたら最悪バレたりしそうだとか、そこまで松瀬の頭によぎってたのにすんなり『分かりました』って切った理由って。
「だって今から戻るなんて相当歩くから面倒だわ。それにあの先生が怒られたって私にはどうでもいい」
「あんたってなんでも真面目なのかと思いきや、けっこー面白いとこあるじゃん」
……あれ、でもあんなにあたしに付き合うのめんどくさがってたんだから、今のを口実にして学校に戻ってそのまま解散にすれば良かったんじゃ?
「それとヤバい行動で言えば、あなただって相当ヤバいことしているわ」
「んー……それは、まぁ……ごめん」
確かに学校からいきなり抜け出して遊んでるとか、地味にしたことないかも。
それも、成績とか内申点を大事にしてる他人を巻き込んで。
「……別にもういいわ。それよりも」
松瀬が繋いだ手にきゅっと力を込めて、こっちを見てくる。
「楽しい気分にさせてくれるんでしょう」
「……うん、いこっ」
◇ ◇ ◇
水族館に来たのなんて子供の頃以来だ。
それもアルバムにあったのを見たというだけで、記憶には残っていない。
リニューアルされたばかりらしい館内はどこも真新しく、水の反射も手伝って幻想的で綺麗。
入口で貰って来たパンフレットを裏返してみれば、ショーの時間が載っている。
「この時間はもう全てのショーが終わっているみたいね」
「えっまじ?」
「来る前に確認しておきなさいよ……」
「は?そんなんしょうがないじゃん」
まぁとりあえず、これで時間を気にしてうろうろする必要が無くなったのは楽。
「それで、どこから見に行くつもり?」
「あっ、みてあっちでっかいサメ!」
「ち、ちょっと引っ張らないで」
せっかくパンフレットを貰ったのに、それを見ないであちこち行ったり来たり、効率の悪い回り方をすることに。
……でも、こんな風に誰かのペースに合わせて遊ぶなんてこと、もういつからしていなかっただろう。
小学生の頃から勉強は真面目にしていたけれど、それでも友達と遊んだりもしていたはず。
いつからか勉強優先の日々になって、気が付けば友達らしい友達なんていなくなっていたし、高校に入ってからはバイトを始めたことで更に遊ぶ機会なんてなくなった。
……だからだと思うけど、胸がぐっと締め付けられるような感覚になった。
私は今、楽しいと思っているのだろうか。
今日の出来事を楽しかったと思うのだろうか。
1階のフロアを全て回り終え、目の前にある地下への階段を降りる。
「なんかめっちゃ暗っ」
「深海のコーナーかしら」
「うわ、みてめっちゃグロいのばっかりいる」
さっきまでと打って変わって、柊の体が強張っており恐る恐る見て回っている。
私としても、その方が説明をじっくり読めるから助かるんだけれど。
……いつの間にか恋人繋ぎになっている。
「ずっと思っていたけど、こういうのって当たり前なのかしら」
「こういうの?」
「これよ」
繋いだ手を持ち上げて見せる。
「手を繋ぐだけならまだしも、水族館に連れて来て恋人繋ぎって、あなた私のことが好きなの?」
「…………」
唖然とした顔でこちらを見ている。
「……なによ」
「ふっ……」
「鼻で笑うんじゃないわよ」
「いや、だって冗談で聞いてるように見えないもん」
「冗談で聞いていないんだから、そりゃあそうよ」
変なことを聞いたつもりは無いのに、この態度。
そもそも変なことをしているのは柊の方なのに。
「あはは、いやほんと変なとこあるよねあんた。今日知り合ったばっかで、それも女同士で好きとか普通ないでしょ!」
「確かにそうそうあることじゃないにしても、結局はどちらも些細な問題でしょう」
「……ふぅん、そう。でもどっちにしたって私にそんな気はないよ」
あまり興味無さそうに、繋いだ手をにぎにぎと揉んでくる。
「じゃああなたは『恋人繋ぎ』なんて名称の行為を誰とでもしているの?」
「別に誰とでもする訳じゃないけど、仲良い子とするのは別に変じゃないでしょ」
「私はいつあなたと仲良くなったかしら」
「こいつ……。あたしは単に楽しませるために、仲良い友達といる時の感じでしてるだけだって」
「これで私が楽しいと思うなんて、自惚れも良いところね」
実際そう思ったから言っただけだけれど、煽るような言い方になってしまったようで。
「はぁ!?別に嫌ならもうしないし、ムカつくなぁ!」
「別に嫌とも言ってないけれど」
「あ~~~もう!どっちだよ、ほんと変なやつ!」
柊は腕をぶんぶんと振って離そうとしてくる。
私はそれを無視して、先の通路へ手を引っ張っていく。
「ほら、行くわよ」
「このぉ~~~~~~!」
それから館内を一通り見終えた後。
「あー、ムカつく。奢るって言ったけど、ムカついてる時にあんたの分のお金払わなきゃいけないのが余計ムカつく」
「嫌なら後で返すわよ」
「別に良いって、ムカつくけど」
私達は、館内のレストランで早めの夕食を食べていた。
メニューは正直どれも割高で、私は一番リーズナブルだったうどんを選んだ。
お母さんには当然メッセージで断りを入れたけど、珍しく外食なんてしたものだから驚かれた。
「てかあそこの周り一面水槽になってた通路、めっちゃ綺麗だったなぁ。思い出したらムカつくけど」
「さっきから語尾がおかしいのをなんとかしなさいよ」
嫌がりながら着いて来た先の通路が全面水槽になっていて、まるで海の中を歩いているような演出がなされていた場所があった。
その光景に、流石に彼女も目を見開いて『わぁ』と感動していた。
しばらくしてまた思い出したように怒っていたけど。
「結構時間も経っているわね。この後学校へ行かないといけないんだから、早めに食べましょう」
「言われなくても分かってるって。ねぇ見てこれ、可愛い」
そう言って、柊のもとに後から運ばれてきたダイオウグソクムシ型のケーキを見せてくる。
「……あなたさっき深海のコーナーでグロいって言ってたじゃない」
その後、私達は賑やかに夕飯を終えて水族館を後にする。
「うわ、さっぶ!」
「当たり前だけど、冬のこの時間は完全に日が落ちているわね」
先生からはなるべく早いうちにって言われたのに、すっかり暗くなってしまった。
寒いこともあって、早く学校に戻りたい私は柊の手を取る。
「え、なに?」
「なにって、あなた今日ずっとこうしてきたじゃない」
「でも、あんたさっき」
「別に嫌だなんて一言も言ってないわ」
「……あっそ」
足早に夜の学校へと向かう。
先生から許可を貰っているとはいえ、不法侵入だ。
気は乗らないし、明日の朝改めて行く方が良いに決まっている。
……それなのに、先生から電話が来た時に『今日行くこと』を選んでしまった私は、いつもより変だ。
◇ ◇ ◇
夜の学校に来たのなんて子供の頃以来だ。
学校行事だったか地域の行事だったか、一度だけ小学校の運動場でキャンプファイヤーをした。
そんな記憶、今の今まで忘れてたな。
今日はこいつを1日振り回したつもりだけど、あたしの方が振り回されていてなんだか疲れた。
嫌なやつだと思ったら、そうじゃなくて。でも良いやつかもって思ったらやっぱ嫌なやつで。
あたしの周りには今までこんな変なやつ居たことが無いから、とにかく感情を引っ掻き回される感じがすごくムズムズする。
「……まさか、あの教師『窓を開けておく』と言っていたけれど、門は全て施錠済みかしら」
「流石にそうなんじゃない?泥棒が入ったら困るし」
「ならどうしろって言うのよ……」
「気合で登るしかないんじゃない?」
あたしは、あたしの身長ほどしかない門に手を掛け、一息に『よっ』と体を持ち上げる。運動自体は出来るからね。
そのまま門の上に立ち、松瀬に手を伸ばす。
「ほら、掴まって」
松瀬は伸ばした手には目もくれず、怪訝そうにこっちを見てくる。
「いえ、普通にそちら側から開けてくれればいいのだけれど」
「……あ、そっか」
言われて門の向こうへ飛び降りる。
大きな鍵?をガチャンと外して開ける。
「開いたよ」
「……ありがとう」
「あの門、鍵が無いと開かないかと思ってたけど普通に内側から開くんだね。知ってたの?」
「流石にそんなこと知らないわよ。でもあのまま引き上げたら、あなたが危ないじゃない」
「……そか」
一応門の鍵をまた閉めておいて、恋人繋ぎ。
「てか、こんな簡単に入れるって危なくない?」
「普段なら防犯がオンになっているはずだからバレるようになっているでしょう、知らないけど」
それから先生の言っていた窓を開けて、中に忍び込む。
目の前の靴箱で上履きに履き替えてから、スマホのライトを付けて廊下を照らす。
「うわ、こっわ……」
「ちょっと、腕に抱き着いてこないで。流石に歩きづらいわ」
「あんた怖くないわけ!?」
「当然、怖いに決まっているわよ」
「堂々と言うことか!」
真冬の夜の校舎。日中ですらめちゃくちゃ寒い廊下に、一段と冷たい空気が流れている。
「こんなん絶対幽霊出るって……」
「幸いにも、この漂っている冷気が物理現象なのか霊現象なのかが分からないのが救いね」
「気にするとこ変だって!」
こんな時でもやっぱり変なやつだ。
「なんだか寒気がするわ」
「それは1日中そうだったでしょ!?」
変なやつって言うか、もはやなんかに憑りつかれてない?
わーわーと声が反響する廊下をゆっくりゆっくり歩き進め、今朝補習を受けた教室の前に辿り着く。
「なんかもうちょっと懐かしい感じする」
「奇遇ね。昼前までは居たというのに」
今日は普段じゃありえないような1日だったけど。
松瀬と最初に出会った場所に、最後にまた帰って来たのが不覚にもちょっとドラマチックだなんて思ってしまった。
今日1日、松瀬がずっと持っていた鍵で教室を開ける。
後に続くあたしが、教室の電気を付けようとしたところで止められた。
「ダメよ、学校に人が居るって遠目からバレてしまうから、通報されかねないわ」
「あ、そっか」
あたし達は机に広がったままのノートを片付ける。
「結局、ちょっとしか教えていないわね」
「それはまぁ、言い合いしてたし」
松瀬が片付けていた手を止めて、ぼんやりと外を見つめている。
「どうかした?」
「いえ、夜の教室なんて初めてだから。それに二度と来ることは無いでしょうし」
「あぁ、確かに」
「夜の学校なんて怖いだけかと思っていたけれど、教室は案外、綺麗というか風情があるのね」
「あ、ちょっと分かる。フィクションの中の青春、みたいな感じする」
2人で並んで、しばらく窓の外のグラウンドをぼーっと見る。
「ね、写真撮ろうよ」
「あなた、いつも急ね」
「いいじゃん。二度と来ること無い場所、なんでしょ」
「……そうね」
月明りしかない教室で、2人で自撮り。
光源が弱いから不安だったけど、最近のスマホは良い感じに調整してくれる。
「あはっ、あんためっちゃ表情硬いじゃん。普段自撮りとかしなさそうだもんね」
「……この奥の方、生首が写っているわ」
「うそ!?無理無理無理!」
「冗談よ」
勢い余ってスマホを投げそうになったじゃん!
「こ、この~~~!」
「人の顔を笑った罰よ」
そう言ってふふっと笑う。今日何回か笑ってるとこ見たけど、意外と冷たいだけのやつじゃないんだよね。
「あ、そうだ、写真送るね。……って、ライン知らないじゃん」
「そうね。交換しておきましょう」
意外にもすんなりとラインを交換して、プロフィールが画面に映し出される。
「あんた、下の名前は
「そうよ。あなたの下の名前は……今朝教室で聞いたはずだけど忘れたわ」
「
「そういえばそんなのだったわね」
「そんなのって言うな」
”友達”に追加したばかりの松瀬静に写真を送る。
「ねぇ、それじゃあ、静って呼んだらいい?」
「別に、好きにすると良いわ」
「じゃあそう呼ぶ。静もあたしを瑠佳って呼んでくれて良いから」
「……気が向いたらね」
「あっそ……」
あたし達は荷物を片付けて、教室を出る。
明日の朝先生が来るらしいから、鍵は職員室前に置いておけば分かるだろうって置いて、それから門は来た時の逆の手順で出た。
門から飛び降りようとする私に静が手を差し伸べ、あたしもその手を取って飛び降りる。
もうすっかり夜だし、今日やるって決めたこともこれで終わり。
「それじゃあ、そろそろ解散ね。今日はありがとう」
「……ありがとう?」
「…………あぁ」
静は失言をしたみたいな様子で、ため息をつく。
「……そうよ、楽しいと思ったわ。悔しいけれど」
「そっか……。あたしも、楽しかったよ」
「そう、よかったわ」
別れの挨拶をどちらが切り出すかという時の、微妙な間が空く。
「それじゃあ今日は」
「……あのさぁ」
「なに?」
「スタバで駄弁って、水族館行って、夜の学校に忍び込んだじゃん?」
「めちゃくちゃなラインナップね」
「……もう1個遊びがあるんだけど、聞く?」
「もうかなり遅い時間よ……」
そんなことは、分かってる。
むしろ、だからこそと思って黙って見つめる。
「はぁ、聞くだけ聞くわ」
「……お泊り会とか、どう?」
静は悩んだ様子で頭を抱え、しばらく黙り込む。
「……お母さんに聞くだけ聞いてみるわ」
今日のあたしは静と遊び倒して、楽しいと言わせることが目的だった。
だって、さんざんバカにされてムカついたから。
そして、実際に楽しかったと言わせてみせたんだ。
だからもう静に用はない。……はず。
……それなのに、『今日がまだ終わっていないこと』にしたあたしは、いつもより変かも。
◇ ◇ ◇
結局、私は柊瑠佳の家へお邪魔することにした。
世間的に見れば、お金持ちの家と言うほどではないかもしれないけれど、それでもうちより立派な家。
「お邪魔します」
「親はどっちもいないから、適当でいいよ」
「いつもそうなの?」
「大体はね。だから夜はほとんど弁当買ってくるか、外食かな」
「……そう。栄養が心配ね、思春期なのに」
「まぁちょっとは気にしてるし、大丈夫」
柊瑠佳の部屋へ向かう廊下で、彼女の家庭の事情の一端を知る。
玄関から2階へ上がり、少し歩いた先の扉を開く。
「ん、入って」
「……お邪魔します」
「適当でいいってば」
「人の家に入るのなんて久し振りだから、どうしていいか分からないのよ」
手近な場所に鞄を置き、部屋の中央にある小さなテーブルの横にぎこちなく正座する。
「それで、何をするの?」
「んー、なにって……特にないかな」
「ないって……何もないのにどうして家に呼ぶのよ」
「えー、だって……」
次の言葉を待っていたら、そのまま途中で終わってしまった。
「なんでもない」
「なんなのよ」
「……とにかく!家でやることとか、適当に駄弁ったりスマホ弄ったり、気が向いたことするくらいだから」
「そう」
それからしばらく、私達は途切れ途切れの会話をした。
今日の出来事を振り返ってあの時どうだったとか、普段はどこで何をしているとか、他愛のない話。
今日1日、色々と揺さぶられた気持ちを整理するように、私はぽつぽつと総括を話し始める。
「……改めて言うけれど、今日は楽しかったわ」
「そ。良かった」
「あなたさえ良ければ、これからも私の知らないことを教えてくれないかしら」
「良いけど、毎回奢るのは無理だからね」
「別にそんなことは期待していないわ」
「そーだったね」
私が真面目に話している空気を汲み取ってか、簡単な返答だけが返ってくる。
「代わりに、私はあなたに勉強を教えてあげるわ」
「うげ……」
「露骨に嫌そうな顔しないの。あなた頭は良いんだから、このままだと本当に損よ」
「まぁ……留年もかかってるし、どっちにしろやらなきゃいけない状況ではあるけどさ」
「そうでしょう。そこでなんだけれど──」
間を空けて、息を吸い込む。
決め切れていない、迷いのある選択肢。
それでも私は、勇気を出して言ってみる。
「私と恋人になってくれないかしら」
言ってしまった。誰にも言ったことの無いセリフを、まだあまり知らない仲の柊に。
「は、はぁ?それマジで言ってる?」
「……ちゃんとマジで言ってるわ」
ぽかんとした顔でこちらを見た後、こらえきれなくなって吹き出した。
「ふっ……あはは!静も中々ヤバいこと言うよね。てっきり、改めて友達に~とかそういう話かと思ったのに」
あははと声をあげる柊がひとしきり笑い終えるのを黙って待つ。
「あたしら今日が初対面だし、それに女同士だし。そういうの気にしないわけ?」
「別に恋人なんて、基本は好き同士が付き合うっていうだけで、知り合った期間や性別なんて恋人になるための条件には含まれていないでしょう」
「……そういや水族館でも同じこと言ってたもんね。じゃあ静はあたしが好きなんだ?」
「それは……まぁ、正直に言うと自分でもまだあまり分からないわ」
そう。本当に自分でも分からない。なのに、どうして『恋人』だなんて。
「ただ、あなたのことをもう少し知ってみたいと思ったのよ」
「んまぁ、それはあたしもちょっと分かるけど……」
今日あったことを思い出す。
覚えている限りのこと、全部。
「私とあなたは正反対で合わないと思っていたけど。むしろ」
「正反対だから教え合えるって?」
「そうよ。それに私達、きっと言うほど正反対でも無いわよ」
スタバで聞いたこと。
うちは貧乏だけど、お母さんとの仲は良い。
彼女は裕福だけど、放任されていた。
「育ってきた環境が正反対だっただけで、きっと元の性格はそんなに違わないと思うわ」
「えー、そう?」
「えぇ、そうよ」
「でもそれで『友達』よりも先に『恋人』が出てくるって、やっぱあたしのこと好きなんじゃん?」
水族館で感じたこと。
彼女のペースで過ごして、恋人繋ぎをされて。
あれが恋かは分からないけれど、私は多分、ドキドキしていた。
「だから、私自身よく分からないのよ」
「曖昧だなぁ」
「それで、あなたはどうなの?」
夜の学校で思ったこと。
私達は案外、同じようなことを考えていた。
今だってそうだ。女同士がおかしいなら、知り合ったばかりじゃダメなら、もうとっくに断っているはず。
「どうって言われても……別にコクられて嫌とは思わないけど、付き合いたいって思うにはまだ一歩足りてない。みたいな感じ?」
「そう、あと一歩で届くのね」
「いや、それは言葉の綾って言うかさ」
沈黙が流れる。多分、次の言葉を言わなければいけないのは私。
「……今日は楽しかったわ」
「それはさっき聞いたけど」
「私は勉強を教えてあげられるわ」
「それも聞いたってば」
再び沈黙が流れる。今のが必要な言葉じゃないのは分かっている。
「…………」
「どうしたの」
まだ迷っている。
後に引けなくなったから言うだなんて、どんな相手だとしても失礼だから出来ないし、したくない。
「…………」
「…………ねぇってば」
……よし。
その上で、私は言うと決めた。
「……柊瑠佳。私は瑠佳のことが、好きよ」
……反応が無い。
あっけに取られている訳でもなく、笑いを堪えている訳でもない。
顔を真っ赤にして、私から目を逸らしているのだ。
返事を待ったけれど、次に返って来たのは、承諾の言葉では無かった。
それと同時に、否定の言葉でも無い。
今日何度か聞いた、ぶっきらぼうな言葉。
「…………あっそ」
どう取れば良いのか分からない返事をされて困っている私の眼前に、不意に瑠佳の顔が一気に近づいてきた。
驚いた時には、唇に柔らかな感触と、ちゅっという軽い音。
「なっ……!る、瑠佳、あなた急に何を」
「いいじゃん、……恋人、なんでしょ」
「わ、私は勇気を出して言ったじゃない!そう言う返事はちゃんと言葉で返すべきよ!」
「だからぁ!今ので十分伝わるでしょ!」
「つ、伝わらないわよ、ほんの少ししか!」
「……ふぅん、逆にほんの少しは伝わってるってわけ?」
「え、えぇまぁ、そう、かもしれないけれど」
突然の出来事であたふたしている私に追い打ちをかけるように、瑠佳は両手で私を押し倒した。
◇ ◇ ◇
結局、あたしは静と付き合うことにした。
世間的に見れば、知り合ったばかりで仲良くもなくてしかも女同士っていう絶対あり得ない相手だけど、それでもあたしの立派な恋人……になってくれるはず。
「ち、ちょっと、あなた」
「なに?」
「……急に押し倒したりして、どういうつもりなのよ」
あたしは、今日あったことを思い出していた。
一番最初の、勉強を教えてもらった時。
めんどくさいながらにあたしのことをちゃんと見てくれていた。
正しく評価しようとしてくれた。ムカついたけど。
「……静さぁ、塵も積もれば山となるって言葉知ってる?知ってるよね。静が言ってたんだから」
一度のキスでほんの少しだけ伝わったらしいあたしの気持ちを全部伝える為に。
静の頬に手を添えて、あたしは何度もキスをする。
何度も。
「ん、ちゅ……ね、ねぇちょっと……ちゅ、んんっ、もう、もう伝わったから」
恥ずかしそうに頬を染めて、息を乱しながら静は懇願する。
でもやめてあげない。
「……そんな言葉、真に受けるだけ無駄。とも言ってたよね。あたしってかしこいから、ちゃんと覚えてるし」
「そんな、んっ、都合よく相手の言うことを切り捨てる為に……ちゅぅ、んん……使う言葉じゃないわよっ」
静は、あたしからの『好き』という言葉を待っている。
でもあたしは、自分のこの気持ちが『好き』なのかが分からない。
だってあたしは、今日知り合ったばっかりの女子に抱く気持ちが本物か判断出来ないから。
「そ。じゃあやっぱあたしバカだから、ちゃんと意味分かってなかったみたい」
それでも、キスをしたい、触れていたい、静に『好き』と言われてドキドキしたこの感情は絶対に嘘じゃないから。
まだ『好き』って言ってあげないし、キスだって今夜はやめてあげない。
……あたしって、ずるがしこいんだね。
「あたし達、お互いの知ってることを教え合うのも良いけど、お互いがまだ知らないことを一緒に知って行くのも……楽しいかもよ」
「……なら、また私を楽しいと思わせられるか、試すつもりなのかしら」
あたしは静の質問に、ふふっと笑顔を見せる。
そして、言葉で返事をする代わりにキスをした。
────────────────
◇あとがき
読んでいただきありがとうございます!
今回はツン×ツンな百合を書いてみました。
が、普段はとろけるくらい甘々でえっちな百合「え、私たちってガチ百合?そんなことないと思う」を連載しておりますので気になった方はぜひそちらも読んで頂けると嬉しいです!
まずは2話まで読んで頂いたら雰囲気が伝わるかと思います!
……と宣伝を挟んでしまったので閑話休題、本作の主人公はクールなツンデレ
柊は冬に花が咲くツンツンした魔除けの樹で、松は和を象徴するツンツンした樹です。
それから松は『松竹梅の最高級』でもありますよね~、
ツンとデレの比率が少ーしずつ変わっていく様子を2人分書くのが大変でした!
様々な点で対照的な2人でしたが、ツンデレ同士という共通点で激しく気持ちが行き来して、たったの1日でカップルになってしまいましたね。
あとは、色々とギミックを仕込んだ文章にしてみましたんですが、そちらはいかがでしたでしょうか!
楽しんで頂けていたら幸いです!
本作はこれで完結のつもりですが、何かネタを思いついたら続きを書いたり書き直したりするかもしれませんね!
その時はまたこの小説ページを更新して告知しようと思います!
改めて、本当にありがとうございました!
ではまたどこかでー!
ツン×ツン百合カップルが成立するまで 御花工房 @tabun_yuri
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