第21話

「「「カンパーイ!」」」

パジャマパーティーの開始。

俺はナース服、花子さんは熊の着ぐるみパジャマ、加藤さんは上下グレーのスエットだ。

カオス…


「〆にお茶漬けも有るから、お腹いっぱいにしないようにね」

「了解」

そう言ってコップに注がれた梅酒ソーダを一気に飲み干した。

「ごくっごくっごく、っはぁ! 」

「マサムネさん最初っから飛ばしますね」

「そんな飲み方してたらすぐ潰れるわよ?」

2人はおつまみに手を伸ばしながら、ゆっくりとしたペースでお酒を嗜んでいる。

「大丈夫大丈夫、炭酸で割ってるからアルコール3度位でしょ? こんなんジュースだよジュース」

「そんなこと言ってる人は大体最初に潰れるんですよね。あっ、コレ美味しいです。初めて食べたんですけど、コレなんですか? マサムネさんは分かります?」

加藤さんが指差す2センチ位の正方形の揚げ物。

ポン酢を付けて食べるコレは何なんだろう?

多分俺も知らない料理だと思うのだが。

何も付けないで食べてみた、特に味があるわけでもない。

凄い軽くてサクサクとした食感。

「俺も分からないや、花子さんコレ何?」

「それは豆腐の素揚げよ」

「え!?豆腐なの?」「豆腐ですか?!」

「2センチ位に切ってそのまま何も付けないで揚げただけよ。ちなみに一昨日食べたカレーに入ってたお肉はコレよ」

「え?! マジ? 加藤さん気づいてた?」

「何の違和感もなく食べてました…。マサムネさんは?」

「俺も全然気づかず食べてた」



1時間後

「マサムネさん、本当に女装似合ってますよね。一緒に『私…キレイ?』ってやりません?」

「やらねぇよ、大体俺は口裂けないから」

「そう言えば全然ニュースで聞かなくなったけど、最近口裂け女は活動自粛中?」

「あっ、はい。心から私のことを『キレイ』って言ってくれた人が居るので」

加藤さんの視線が俺に向く。

「え? 俺?」

「え?! 言いましたよね!? 言いましたよね!?」

「いや言ったけどさぁ、心からって言われると語弊があると言うか…。ちょっと待って! 言いました! 言いました! だからハサミをしまって!!」

加藤さんを宥めていると、

「ちなみに私はプロポーズされたわよ」

「何で火に油注いだの!?」

「プロポーズした相手が居るのに私のコトをキレイって言ったの!?」

「それ小学生低学年の話しだから、大体にしてあの時にキレイって言わなかったら俺切られてたよね?」

「あら、私あの時貰ったオモチャの指輪まだ着けてるわよ?」

花子さんは左手の薬指に着いた指輪を見せる。

「私…初めてされたプロポーズだったのに…私のコトは遊びだったのね」


「ねぇ、2人して俺をいじめて楽しい?」

「ええ、とても」「はい、とっても」


2時間後


「何でマサムネさんの胸、そんなにおっきいんですか? 嫌がらせですか? 裂いて良いですか? 」

「加藤さん飲み過ぎじゃない? もう烏龍茶にしといたら? 胸は花子さんに無理矢理付けられたんだよ」

今、俺の胸には大量のパットが詰め込まれている。

凄く暑い。

「サイズはDカップぐらいよ」

そう言って花子さんは後ろから俺の胸を鷲掴みにしてきた。

「あっ!ちょっ…やめっ」

「何恥ずかしがってるのよ、良いじゃない別に本物の胸じゃないんだから。ほら口裂け女も揉んでみなさいよ」

「加藤さん、花子さんを止めて」

顔を赤らめながら胸を押さえる俺と胸を触ろうとする花子さんを見て加藤さんが一言、

「あ、私百合には興味無いんで」

「急に素に戻るんだ」


3時間後


加藤さんは泥酔、花子さんも目蓋が半分落ちかけている。

「ちょっと飲み過ぎたわね…〆のお茶漬け、朝ごはんに回して良いかしら?」

「加藤さんも寝ちゃってるしそうしよ。俺もこれ以上は入らないわ」

「3人で梅酒2リットル空にしたものね…限界…私も寝るわ…おやすみなさい」

布団に入った花子さんは横を捲り、

「はい」

「ん?」

「寝ないの?」

「寝るけど?」

「ん? なら寒いから早く入りなさいよ」

「あ~、ちょっとトイレ行ってくるわ」

「…ビビり…」





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