第18話
『見つからない…見つからない』
私の目は何処にいったの?
『暗いよ…暗いよ…何処に居るの?』
…あれ? 声が聞こえる…
『何処? 何処?』
え? 皆が連れてってくれるの?
ありがとう
『じゃあ…皆で逝こっか』
「先に何から見ますか?」
「どーしようね、俺フォルテってゲーセンと本屋以外行ったこと無いから実はあまりよく知らないんだよね」
友達と集まったときに『取り敢えず暇だし行く?』って感じでしか来たことないからな。
「私よく服とか買いに来ますよ? 駅から近いし、可愛い服とか小物多いですから」
「今まで家無かったのに服とか何処に置いてたの?」
「普段使う物とか服は大学の専用ロッカーにいれてました」
下着とかどーしてたんだろ?
聞いたらセクハラだよな…
そもそも戸籍も住所も無いのにどーやって大学入ったんだろ?
「最初にパジャマ見に行ってから、お酒とおつまみで良いですか?」
「あ、うん。何処に何あるか分からないから着いてくわ」
「了解です。任せて下さい」
そう言って加藤さんがパジャマを買う場所に選んだのは何故か雑貨屋さん。
色々なジョーク商品やバラエティに富んだ商品が並んでいる。
「加藤さん? ここってパジャマは売ってないんじゃない?」
「普段使わないパジャマを買っても勿体無いので、普段着としても使える服を今回はパジャマにしようかと」
そう言って加藤さんは宴会芸用のコスプレナース服を手に取った。
「お前、俺の普段着何だと思ってるの?!」
「折角のパーティーなんだから良いじゃないですかぁ」
「いやいや、そもそも俺の着れるサイズが無いだろ!?」
「あっ、コレ男性用のフリーサイズなんで大丈夫です」
あるんだ…
お酒とおつまみを買う為に、食品コーナーへ。
「炭酸水と梅酒と…お酒どのくらい買っていきます?」
「まぁ余っても次の日飲めばいいし、少し多めで良いんじゃない?」
「そうですね。あ、氷って買っていった方が良いですか?」
「花子さんが製氷機に水入れてたから大丈夫だと思うよ」
「流石花子さん。なら後はおつまみですね」
「定番ならスルメとポテトチップスとか?」
「チョコレートも欲しいですね」
「いや、つまみにチョコレートなくね?」
「女子はいつでも甘い物が欲しいんですよ。…ん!?」
急に後ろを振り向く加藤さん。
「びっくりした、どうしたの?」
辺りを見回し、
「なんか…誰かに見られてる気がして…」
それは多分だけど…
加藤さんがナース服持ち歩いているからじゃない?
なんで袋貰わなかったの?
買い物を終えて、車に戻る途中。
「他に買ってく物って無いよね?」
「大丈夫じゃないですか? お酒とおつまみとマサムネさんのパジャマは買いましたから。着るの楽しみですね」
「別に楽しみじゃねえよ」
「ただいまぁ」「ただいま」
「おかえりなさい、結構買って来たのね。って…なんでナース服? それ誰が着るのよ?」
「それ俺のパジャマだよ」
「え? …趣味ワル…」
「俺が選んだんじゃねぇよ」
「口裂け女が選んだの? ナイスチョイスだわ」
「折角のパジャマパーティーですからね。盛り上がりがないと」
「ん? ところでパンフレットは? 袋の中には見当たらないけど?」
「「あ…」」
完全に忘れてた。
「つー事なんだけど、どーすれば良いと思う?」
「いやいやいやいや、フリーパスでここに来るの止めてくれない!?」
俺は例の墓場に来ていた。
「え? 不安があったら来れる場所でしょ?」
「そーゆー希望に満ちた言い方止めない? ここは不安と絶望に満ちた人間の生気を吸う墓場よ。この墓場を教会の懺悔室と勘違いしてない?」
俺は背の低い墓石に腰掛け、
「それでどーすれば良いと思う? やっぱりパンフレット貰いに戻った方が良いのかな?」
「ねぇ、それ私のお墓なんだけど? 」
「あ、そうなの? 座り心地良いよ?」
「そーゆーこと気にしてないわよ……あの…早く用事済ませて帰ってくれません? じゃまなんですけど」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます