第16話

朝ごはんを食べながらの便座会議。

「ねぇマサムネ、便座ヒーター直せそう?」

「いやいやコンビニ店員に修理を期待するなよ」

「多分ですけど、修理に出すより買った方が安いんじゃないですか?」

「便座っていくら位するもんなの?」

「さっきネットショップで調べたら2~3万位でした。ただ、ネットで買うと自分で取り付けなきゃいけなくなりますね」

「花子さん取り付け出来る?」

「無理無理、トイレに取り憑いてるけど専門知識が有るわけじゃないもの」

「なら家電量販店で設置まで頼んだ方が良さそうですね」

「よし、見に行ってみるか。加藤さんって午後空いてる?」

「あらデートのお誘いですか? 今日は特に用事無いので大丈夫ですよ」

「便座を見に行くデートってなんだよ。まぁ今日は取り敢えずパンフレットを貰いに行くだけだけど」

「ん? 今日は買わないんですか?」

「ほら、花子さんは店に見に行けないから、パンフレットから選んでもおうかと思って」

「それって…今日も花子さんはマサムネさんと一緒に寝るってことですよね?」

「あっ…」

「ま…まぁ、しょうがないわよね。まだまだ寒いもの」

「マサムネさん、布団の予備って無いんですか?」

「元々一人暮らしの予定だったし、来客用の予備の布団は今加藤さんが使ってるやつだよ」

「なら花子さん、今日は私と一緒に寝ません?」

「え? 嫌よ。この前胸を切られそうになってから、少し距離とってるもの」

「…」

「…」

「な…なら、私も今日はマサムネさんの部屋で寝ます」

「いやいや! 何でそうなるの?!」

「男女2人で寝るなんて、お母さんは許しません!」

「母親自称するなら朝ごはんくらい私を呼ばないで自分で作りなさいよ」

「人には得意不得意があるので…」

「そもそも加藤さんは俺の母親じゃないからね?」

「え? マサムネさんその歳で反抗期ですか?」

「ちげぇよ。大体加藤さんは大学生でしょ? 未婚なのに二十歳の息子持ちで良いわけ?」

「まぁ…ちゃんと責任をとってくれるなら…」

顔を赤らめる加藤さん。

「何をどう責任取るんだよ」

「…なんか話が段々反れていったわね」

「確かに…あっ! いい案があります。マサムネさんが私の部屋で寝て、花子さんがマサムネさんの部屋で寝ればいいのでは?」

「貴女はどうするのよ」

「そりゃ自分の部屋で寝ますよ?」

「男女2人で寝るのは反対だったんじゃないのかしら?」

「マサムネさんと私は親子なのでセーフです」

「アウトだよ」「アウトよ」

「ん~埒が明かないですね…花子さん、ここは妥協案で3人で寝ませんか?」

「…まぁこれ以上話しても時間の無駄でしょうし、しょうがないわね。その妥協案呑むわ」

「俺、1人で寝たいんだけど」

「我が儘言わないで下さい」

「話がまとまったんだから我が儘言わないでよ」

我が儘なのか?

「折角ですしパジャマパーティーにしませんか?」

「あら、良いわね。ならお酒とおつまみも準備しましょ」

「お酒はパンフレット貰いに行くついでに買って来るので、おつまみ頼みますね」

「わかったわ。あ、一応お菓子も少しお願い」

「ポテトチップスとかチョコレートで大丈夫ですか?」

「ええ、それで良いわ」


「ねえ、パジャマパーティーって何すんの?」

「さあ? やったこと無いから分からないわ」

「私も無いです。多分お気に入りのパジャマ着ての女子会ですよね?」

「俺男なんだけど」

「女になります?」

『シャキン!』

「俺の股関を見ながらハサミ構えないでもらえます? 恐いんですけど」

「それなら私に良い考えがあるから任せて頂戴。実は一度やってみたかったコトが有るのよ」

「絶対良い考えじゃないよ、何する気?」

「秘密よ、夜を楽しみにしといて」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る