第14話キャラクターとの絆
親友の月影響子と別れた私は自宅に戻ることにした。南海難波駅の大階段をエスカレーターで登り、ホームにはいる。
ここであの死闘が行われたとは信じ難い。もしかして夢だったのではないかと思う。しかし、ジャケットのポケットにある四枚のイマジンカードがそれが夢や幻でなかったことをものがっていた。
和歌山行きの急行にのり、少しの間電車に揺られる。病院からの着信が山のようにあるが、すべて無視した。病院にもどっても仕方がない。明後日にはまたあのくそったれの悪魔のデスゲームに参加させられるのだから。
羽衣駅で下車する。
徒歩で十五分歩いたところにあるのが、私の自宅だ。十坪の土地の小さな二階建ての一軒家。小さいが、一人で住むには十分だ。この家は母親が残した数少ないものだ。
二階の自室に行き、愛用のノートパソコンの電源をつける。
私は図らずも水無月真珠という
彼女とのあいだに
私は彼女の物語を紡ぐ。想像力が悪意を駆逐すらために真珠との絆を深めないといけない。
私は「触手人間28号とツンデレお嬢様VS恐怖雀蜂女」という短編をカクヨムというサイトにあげた。
真珠の体には世界征服を目論む秘密結社アレキサンドライトによって改造された
光莉は秘密結社アレキサンドライトに触手人間28号に改造され、さらに宇宙刑事オリハルコンによって首から下を焼かれて消滅させられた。
首だけになった光莉は真珠の体に寄生することによってどうにか生き延びたのであった。
江戸沢麻美子先生の漫画ではこのとりつく場面がエロくていいのだ。
触手だけになった光莉が真珠の口にはいり、寄生するシーンは女ながら興奮した。
「触手人間28号、楽に死ねると思うなよ」
ひび割れたガラス窓から光がはいる廃工場の中で雀蜂女2号は言った。
「返り討ちにしてくれる!!」
真珠は超硬質セラミックのサーベルを両手でかまえる。
シュッという音をたて、真珠は高速で移動する。彼女の体は音速をこえた。音速を越える動きに通常の人間は耐えられない。
その痛みは光莉が触手人間としての能力である快楽物質を分泌させることによって、緩和させる。その快楽分泌は性交によって得られる快楽の約三千倍を真珠の体にもたらす。
あまりの気持ちよさに真珠は脳が焼ききられる気分になる。
紅潮した顔で真珠は斬撃をくりだす。
「ハアッ…ハアッハアッ……」
あえぎ声に似た吐息をもらす。
だが、その鋭い斬撃をもってしても雀蜂女の強靭な体にはたいした傷をつけられない。
「そんなものか!!」
雀蜂女は空中に羽ばたき尻に生えた凶悪な針で真珠を貫こうとする。
真珠もジャンプする。とりついた触手人間28号の力により、彼女の体は強化されている。廃工場の天井近くまでジャンプする。
「ふん、空中戦で私に勝てるとおもうのか!!」
高笑いを浮かべながら、雀蜂女は真珠の体を串刺しにするべく飛来する。
真珠は胸元のブラウスのボタンを外す。豊かな胸の谷間が見える。
(江戸沢麻美子先生の設定ではGカップはあるということだ。うらやましいかぎりだ。)
その胸の谷間には彼女にとりたいた光莉の顔がある。光莉は口を開く。舌が触手になり、長く伸びる。光莉は壁際にあるボタンを押した。それは天井にあるクレーンを動かすボタンであった。クレーンは稼働し、背後から雀蜂女をつらなく。
「ぐへっ!!」
と雀蜂女は黒い血を大量にはく。
真珠は天井を蹴り、雀蜂女に肉薄し、首を切断した。ごとりと首だけが落ちる。
雀蜂女は苦悶の表情を浮かべ、絶命した。
「おまえは一人、私たちは二人。私たちの絆の前には敵はいない」
真珠は言い、サーベルを食べる鞘におさめる。
私はここで投稿のボタンを押す。
ちらりと水無月真珠のイマジンカードを見ると背景が銀色にキラキラと輝いている。いわゆるキラカードというものになっていた。
これは真珠の力が増した証明だと思う。
ここで、私はパタンとノートパソコンを閉じた。
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