異世界転生ミリしらの神様に転生させられたらドライヤーが最強の世界ってマジですか?
客砂鈴
プロローグ そんないい加減でどうにかなんの?
俺、風羅 颯(ふうら はやて)。23歳、しがないフリーターだ。
就活に失敗しやりたいことも無く、ただ何となくバイトをする日々を送っている。親のスネを齧りながらくたびれた顔でカップラーメンを啜ってる、我ながら虚しい人生だと思う。
今日のバイトは朝までだった。昼間の活気ある人々を死んだ目で横切りながら家を目指している。
……はぁ、俺って何がしたかったんだっけ。
なんかこう、人生が劇的に変わるようなとんでもない事ないかな。
そんな、何回目かも分からない他力本願もいいところなことを思っているときだった。
身体を殴り付けるような突風が襲いかかる。
今まで味わったことの無いような急激な圧力に俺の体はギャグ漫画みたいに吹っ飛ばされた。
空を飛ぶってこんな感じなんかな?
いきなりの事に脳みそが追いつかず、そんなことを考えていれば気付いた時には目の前にトラックと地面があった。
──マジで?
その言葉が出る暇もなく、俺の身体は惨めに叩きつけられた。「轢かれた」のだと本能が悟った瞬間には目の前が真っ暗になっていた。
次に目を覚ました場所は真っ白な空間だった。
目の前ではやけに顔がいいメガネのおっさんが腕を組んで見下ろしている。バックライト当てられてるのかってくらい背後が光っている、後光というやつがあるならこれなのだろうか。
あっこれあれだ、俺死んだかもしれん。
俺は悟った。
だってあのおっさん、多分神様だよ、流れ的に絶対そう。
絶対死んでる流れだったし、よく考えてみれば異世界転生とかいう奴の導入みたいだったよ。俺よく知らないけど、チヤホヤされるらしいじゃん。
死んだけどそれならラッキーかもしれん。
「ハイハイ可哀想だね〜異世界転生しとこうね。」
和やかな声と笑みでカミサマは言った。なんだ?子供向けのお医者さんみたいなノリだな……。
カミサマは手をぽんと叩くと思いつきのようにパッと顔を明るくして言う。
「なんかアレだよね、最強なやつ!」
うん、合ってると思うけど、合ってると思うけど、ざっくり過ぎやしませんかね?
カミサマに若干の不安を抱き始めた頃、足元が光り出した。模様が浮かび上がっており、転生用の魔法陣なのだろうか……と考えたりする。
「じゃ、行ってらっしゃい第二の人生〜」
ゆるゆると手を振るカミサマ。拒否権も与えられない俺はそのまま光の中に沈んでいく。
まぁいいように回るならいいか……と思っているとカミサマが見えなくなる直前、こんなことを言った。
「ま、俺も異世界とかよく知らないんだけど!」
ダハハ!!という笑い声が最後だった。
本当に大丈夫か!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます