4-4
『…………そう。わかったわ』
そうして。
通信が切られた少し後に。
二機は戦った。
〈フラテルニテ〉は突進し、〈アルテェア〉は迎え撃った。
互いに何を背負っているかは分からない。
けれど、まずもって生きるために戦うだけだ。はっきりと姿を認め合う近中距離戦。二挺の炸裂レールガンは電磁障壁に逸らされて、近接スパイクによる全身打撃が敵機の俊敏さに空を切る。
そんな神経の神域を極めた。
刹那を積み上げる格闘の末に。
『――ピ、……システム……。エラー……』
ついに二機の駆動が止まった。
突き上げる稲妻纏いし銃剣で、肩部装甲ごと切り落とされる〈アルテェア〉左腕。
だが、〈フラテルニテ〉のコクピットを貫いていたのは〈アルテェア〉のもう片方の剛腕——右腕部パイルドライバー。杭と電磁力の瞬発刺突が生み出す必殺の一撃であった。
二機ともに、うごかない。
凭れ合うように、その場にくずおれる。
毒雨に滴る…………廃液。
ひしゃげた複層発電装甲に、溢れだす青白い放電。
ユーリはかろうじて意識を留め。ディスプレイからは『自由船団』最後の一隻が、今まさに水平線から消えていった。護衛任務は達された。
そして。
ユーリは、目のまえが真っ暗になった。
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