4-1 決戦





 四八時間が経った。



 エリシアら『自由船団』の停泊地から離れること一五キロ内陸。

 レーダー、長距離兵装、共に死角皆無の高台。緊要地。あいもかわらず見飽きてしまった、不毛な赤銅色の荒野。


 ユーリに課せられた任務は簡潔。

『自由船団』の護衛。

 条件は同船団に所属する四五隻、全船の出航。大陸離脱。以上。





 急ごしらえの野戦陣地に屹立するのは機械の巨人――ユーリの機体。


 その名を〈アルテェア〉。


 警戒システムが、地上侵攻する敵影を……とらえた。

 レーダー反応。当該機、人民軍所属〈アインド・ギア〉。一〇〇機以上。

 気象状況は豪雨。装甲された戦力以外の存在を拒む、化学の毒雨が降りしきる。


 黒い空。深い雲。

 汚される、赤い荒野。



『――直上に重化学煙霧雲スモッグ。毒性一〇。降雨状態』



 05:40。

 明朝。最後の戦いがはじまる。

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