第4話

「主砲、起動……目標、ワープ地点」


ホログラムの船の上部に、大きな砲門がせりでてくる。それはぐいっと上を向くと、エネルギーが充填されていく。

かなり忠実に船の状態を再現しているようだ。


「……対空システム、起動。エネルギーバリア展開……カタパルト準備完了」



ホログラムの船の一部が開き、。さらに、船を覆うようにして水色のバリアが表示される。

部屋の片隅に透明なガラスのような素材の円筒が出現し、ぱかりと扉が開く。


「ふふ。いつでも射出できますわ」


と、エル。

なるほど。この装置は、俺たち探索者が外に出撃するためのカタパルトというわけらしい。


「……澄火」

「……ん」


澄火は紫電と化して俺に纏わりつく。

エルは忙しくコンソールを操作している。上空をみると、アンチアーティファクトの艦隊が出現しようとしている。


地上では、慌てて迎撃準備がされていて、トップ探索者が


「世界に『天翔』こそ最強だと知らしめてくださいな」

「了解、エル」


俺は澄火を纏ったまま円筒の中へと入る。


「射出」


エルの合図とともに円筒は重力に従って落下し、船の後方へと滑っていく。どんどんと加速していくのがなかなかに心地いい。

そして、船の後方より外へ飛び出した。


瞬時に俺は三対の翼と炎刀・氷刀を展開する。


「……澄火」

「ん!」


そして、澄火の『紫電』によってさらに速度がブーストされる。


「まず1」


––––閃撃・双


まさに出てきたばかりの大きな船に向かい、俺はクロスさせるように斬撃を放つ。


「2」


パトラムのビームが船を灼く。当たりどころが悪かったのか、一撃で爆発四散した。


「3」


刀を振って斬撃を飛ばし、船を切断する。

群がってくるロボットは、澄火の紫電とパトラムの自動射撃で撃ち落とされていく。


「……ん。無双」


俺はどんどんと速度を上げながら、船を殲滅していく。今までとは日にならない量だが、俺単体の殲滅速度で十分渡り合える。


地上はエルの船とトップ探索者によって抑えられているので、上空にさえ集中していればいい状況だ。


「……若くん、くる」


澄火がそう呟く。

大体、こういう時の澄火の直感は当たっていることが多い。

果たして、ワープホールから惑星とも思えるほどに大きな球体の構造物が出現してくる。


構造物の表面には多数の洗練されつつもごちゃっとした機械群がついている。人間とは異なる思想で作られているのか、見ていると少し気持ちが悪い。


––––コイツだ。


俺は確信する。

コイツが、古代文明を滅ぼしたのだ。いままでのは先遣隊……こいつが、親玉だ。


まさに世界を終わらせるほどの脅威を、コイツからは感じる。


その証拠に、上空のワープホールが閉じていく。こいつが船を生み出しているため、もう必要なくなったからだろう。


「ムラクモ……世界よここに」


俺はパトラムと権能によってフィールドを展開し、さらにムラクモの鯉口を切る。

目の前の危機を反映してか、かつて無いほどに強力な力が湧いてくる。


「派手に行くか!」


俺さらに加速し、構造物に肉迫する。


––––閃劇・終


俺はそのまま抜刀術を放つ。


俺の膨大なステータス、領域によるブースト、そしてムラクモの力。これらの相乗効果によって、剣閃の延長線上の全てが空間ごと断ち切られる。


そして、球体の構造物が真っ二つになった。


「まだまだ!」


さすがというべきか、構造物は互いに引き合ってその機能を取り戻そうとしている。


俺は間髪入れずに抜刀術を放っていき、さらに構造物を切断していく。


100回ほど切り刻んだあたりで構造物はバラバラになったまま元の形を取り戻そうとしなくなり、落下して行った。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


この戦いの功績によって、俺はSSS級探索者となった。

名実共に、『最強』へと至った。

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