第6話

『大罪』のメンバーたちは、まずはザ・ヒーローに狙いを絞ったのか、一直線にザ・ヒーローへと向かう。


!」


『暴食』は白い狼を多数召喚して、ザ・ヒーローにけしかける。『憤怒』は身に余る怒りを以って自身を強化し、さらに『傲慢』は精神攻撃を仕掛けている。

別種の権能を三つ同時に行使され、流石のザ・ヒーローでも捌くのは難しそうだ。


「させない!」


それを助けたのは、イギリス、ドイツ、イタリア……そしてギリシャのトップ探索者だ。


「……まずはその腕輪からいただくとしよう」


『闇夜』は暗闇に乗じてこちらに攻撃を仕掛けてこようとするが、フランスの探索者『Lalumie』、そして師匠……『天使』によって挟み撃ちにあうような形になってしまっている。


「こっちはこっちでやる、やつの短剣を奪え!」

「……ちっ」


ザ・ヒーローはそう指示を飛ばす。


まずはダメージを入れようとでもいうのか、探索者たちは飛び込もうとはせずに遠距離攻撃を次々に放ってくる。

どれもこれもが致命傷となりうるような攻撃。ステータスが高い俺は何十発かは食らっても問題なさそうだが、澄火やシュラエットはそうは行かなそうだ。


「アム・レアー」

「ん。紫電」

「『プリムスの瞳』」


俺と澄火は目には目をと言わんばかりに遠距離攻撃を返し、シュライエットは権能を使用して攻撃を相手にそのまま叩きつける。


それを隙だと考えたのか、闇に潜んでいた黒子ビハインドザシーンの構成員が奇襲をかけてくる。


「Code:L……起動」


俺は全身をパトラムの装甲で多い、構成員ごと極太のビームで戦場全体を薙ぎ払う。


しかしさすがはトップ探索者というべきか、特に効果はなかった。


「ふふ。景気がいいね。それじゃあ……


『大罪』の三人がフィールドを展開する。


「心を強く持て!」


ザ・ヒーローがそう檄を飛ばす。



俺はと澄火はそれに便乗するようにして、それぞれフィールドを展開する。

5つのフィールドが干渉しあい、結果として押し出されるように欧米の探索者たちへと向かう。


「ぐっ」

「まずは一人目」


5つのフィールドが押し合う境目にいた探索者が、膝をつく。それを見逃さず、『暴食』が力を回収した。


「……運命の愛……比翼の連理……忠義の献身」


俺は戦場の注意がそこに向いているのを見逃さず、大技の準備を始める。


「……愛の契約……天使」

「……ちっ」


『闇夜』が舌打ちをしながらフィールドを突っ切ろうとしてくる。


「させませんよ?」


しかし、『天使』にあっけなく迎撃されていた。『闇夜』は顔を歪ませた。


「交わらぬ道は一つとなり、進む。全てが消えるその日まで」


背中に展開しているパトラムに、ブルーグリーンのラインが走る。


さあ……いい加減この無意味な戦いを終わらせるとしよう。


「……ここに我らだけの世界を」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る