第9話
俺は全身に装甲を纏わせる。
助手が手を加えたのか、緑・赤・青・金の線で描かれた幾何学模様がプリントされていて、なかなか悪くないデザインに仕上がっている。
エルが戦闘服に組み込んだシステムを起動する。24時間のクールタイムがあるものの、アーティファクトの効果を爆発的に上昇させるシステム。
その名も……
「Code:L……起動」
俺はほぼ一瞬で敵の旗艦の眼前へと辿り着く。予想では、こいつが空のワープホールを作り出し、軍の供給を行っているはず。
「はあああ!」
俺はパワーを全て乗せた拳を旗艦に打ち付ける。
ズッ……と世界が揺れたかと思うと、旗艦に大穴が開く。
内部には機能を把握することさえ困難な、わけのわからない機械群がある。
俺はそれらにブルーグリーンの幾何学模様が走る両掌を向ける。
「あばよ」
MPを一気にすべて消費して、ビームを放つ。
膨大なMP、領域による強化、さらにCode:Lによる強化……それらが載ったビームは、神の怒りとも見紛うような破壊力を以て、旗艦を消し飛ばした。
ウアアアアアアアアアン……という獣が吠えるような音と、空間同士が干渉し合っているのか微かな軋むような音と共に空のワープホールが閉じていく。
しかし、この状況はあまりいいものではない。
現在ワープホールは、旗艦による制御を失い、ワープホールの外の空間に押し戻されるようにして閉じていっている。
確かにワープホールは結果としてなくなるだろうが……不安定なワープホールはその前に崩壊し、一時的に空間の歪みが発生する。
結果起こるのは、その歪みが元に戻る事象から発生するエネルギーの発散……大規模な爆発だ。
俺はそれを解決するべく、腕輪の中から一つの装置を取り出す。
エルによって創られた、空間制御装置……不自然に歪められた空間を制御し、元に戻すアーティファクトだ。
ちなみに、俺の腕輪の中にはエルによって創られた多種多様なアーティファクトが眠っている。
俺は直方体の形をしたその装置の起動スイッチを入れ、空に掲げる。
アーティファクトが自動でふあああん……という音を立てて、緑色の光が空へと伸びる。
今にも崩壊しそうになっていたワープホールが安定し、徐々に閉じていく。向こう側の世界からやってくる機械兵もワープホールに向けて引き上げていく。
そして、アンチアーティファクトからの襲撃は終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます