第8話

まだまだ、このアーティファクトの力はこんなものではない。


俺は手の装甲を維持したまま、右掌をこちらへ向かってきている機械兵へと向ける。


ブルーグリーンの光が装甲に走り、機械兵をビームが貫いた。

それを隙と見たのか、俺の後方から機械兵が群がってくる。


「甘い」


パトラムの羽の先端からビームが次々と撃ち出され、機械兵を殲滅していく。


特に俺が狙いをつけなくても、自動で敵を狙い、ビームが放たれていく。

フレンドリーファイアを気にしなくてもいいこういう戦場では、かなり便利な機能だ。


さらに、これまではアム・レアーからしか発射できなかったが、パトラムのどこからでも––––装甲を発生させさえすれば、体のどこからでも––––撃てるようになっている。


そして、もし以前のように周囲にデバイスを浮かべてビームを撃ちたければ……


「……起動」


パトラムからパチンとガラスのかけらのようなものが飛ぶ。

そして、それを介してビームが俺の正面の敵を貫いた。


アム・レアーの機能全体も、かなり進化しているようだ。


俺はパトラムの機能を体に馴染ませるようにしながら、機械兵をどんどんと瓦礫の山に変えていく。


とはいえ、この戦い方では限界がある。


機械兵は確かに俺の手にかかれば一撃ではあるものの、鎧袖一触とまではいかない。

そんな機械兵の大群が探索者に押し寄せた場合、陣形が半壊してかなりの被害が出ることだろう。


最悪なのは、市民に被害が出ることだ。もし市街地に一体でも流れていった場合、凄惨な現場が展開されることは想像に難くない。


つまり……この機械兵たちは、一網打尽にする必要があるということだ。


「……運命の愛……比翼の連理……忠義の献身」


俺はアム・レアーでの攻撃を全て自動化し、飛行に専念しつつ俺は技を構築していく。


「……愛の契約……天使」


何か不穏な気配を感じたのか、全ての機械兵がこちらを向く。

若干ホラー気味な光景だが、俺は構わずに高速飛行で敵の間をすり抜けつつ構築に集中する。


「交わらぬ道は一つとなり、進む。全てが消えるその日まで」


パトラムにブルーグリーンのラインが走る。


「……ここに我らの世界を」


俺に向かってくる機械兵たちの動きが止まる。


「潰れろ」


俺はグッと手を握る。


すると、機械兵が全て、グシャリと何かに押し潰されたように破砕される。


と、別の船から今までとは違う形をした機械兵が飛び出して、こちらにビームを撃ってくる。

しかし、その全てが俺の領域によって反射され、撃った機械兵を貫く。


「……さて、そろそろ終わらせるとしよう」

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