第2話

「了解。道を切り開くよ、旦那様」


と、シュライエットから通信が入る。


「プリムスの瞳、起動!」


俺の前方で爆発が巻き起こり、多くのアンドロイド兵を巻き込んで破壊する。


権能『プリムスの瞳』……澄火がオークションで落札した“眼”をシュライエットが使用した結果、得られた能力。


その全貌はいまだにわかっていないらしいが、少なくとも能力の一つとして「遠くの空間を視認し、自身の他の能力を適用する」というものがある。

今の攻撃は、それを応用したものだ。


俺は攻撃によってできた隙間をすり抜けるようにして、魔境の中心部を目掛けて高速で飛行する。


しかし、失った数は補充すればいいと言わんばかりに、続々とアンドロイド兵が地上に現れ、空にいる俺たちを迎撃すべく飛んでくる。


俺もアム・レアーで撃ち落としていくが、正直なところ焼石に水だ。

今回の作戦では特に弾幕を張るようなことは予定されていないので、アンドロイドが増えすぎる前になんとか辿り着く必要がある。


「……ん。どうする?」

「……コード:Lを使う」


一日に一度だけ使える、アーティファクトのブースト……正直、あまり切りたくないカードだが、致し方ない。


俺はコード:Lを背中のエンジンに適用し、一気に加速する。

エルの技術は伊達ではない。俺たちはアンドロイド兵を切り抜け、魔境の中心へと到着した。


「……扉、か?」


中心部には、どこか見覚えのある大きな扉が一つ鎮座している。


「……ん。ピース3までのダンジョンにあった扉と似てる」


澄火は紫電化を解除して、俺の隣に降り立ちそう言って扉を観察する。


「……若くん、扉に触れてみたら?」

「そうだな」


俺は澄火に促される通りに、表面に触れる。


すると、ぶうんという音が響いて触れたところからブルーグリーンの幾何学的な模様が走る。


そして、ガガガガガと扉が開いた。


中にはメカニカルな内装の空間が広がっている。


「あうっ」


と、澄火が中に入ろうとして、バチリとセキュリティシステムのようなものに弾かれる。


試しに俺は扉の先の空間に手を伸ばしてみたが、特にはじかれるようなことはない。


「……ん。若くんしか入れないみたい」

「なるほどな」

「……ん。行ってらっしゃい。私はここにいるから」

「悪いな」


俺は澄火と別れ、通路を奥へと走る。突き当たりの階段を下に降りたところで、また扉に遭遇した。

今度は、おそらく何らかの部屋へと通じる扉……ドアノブがついているタイプだ。


俺はドアノブを開き、中へと入る。


そこは、超古代文明の研究所と思われる場所だった。

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