魔境攻略作戦“Hope”

第1話

「さて……」


魔境“Hope”、その上空。


多数の軍事ヘリコプターが、探索者を乗せてホバリングしていた。


今回の作戦でも、探索者たちは陸と空、二方向から中心部にあるダンジョンを目指すことになっている。


俺は聖痕スティグマの翼を展開し、さらに炎と氷の翼を展開する。


二対の翼が、俺の背中に出現する。


隣では澄火が待機している。澄火は俺に紫電で纏い、俺にバフを供給しながら降下する予定だ。


「……作戦準備完了。予定通り、三分後に作戦を開始します」


と、今回の作戦の総司令官であるオーストラリアの探索者協会の会長。


エルの資料によれば、今回の“Hope”の中心にはアーティファクトの施設がある。おそらくは、俺の持つプロジェクト####……その根幹があるはずだ。

最後のピースである、ピース5も眠っている可能性が高い。まずは魔境の中心部に何としてでもたどり着く必要がある。


「……あんまりよくない天気だな」


本日はパラパラと小雨が降り、視界もあまり良くない状況だ。

戦闘には最適とは言いずらい。


「……ん。まあしょーがない。どうにかなる」


澄火はそういうと、体を紫電に変化させて俺にまとわりつく。


「……作戦開始まで、3……2……」


と、カウントダウンの通信が入る。

俺はヘリの扉を開き、飛び出す準備を始める。


「1……作戦開始」


俺はヘリから一気に飛び出す。アーティファクトピース4のエンジンを噴かし、高速飛行を開始する。


やがて、魔境の領域内に入ったところで地上からの対空射撃が飛んできた。


「……ん。情報通り」

「ああ。だが目標は分散してる。狙い撃ちにされることはないはずだ」


俺は『天輪』によるバリアを展開する。

対空射撃は俺のアム・レアーと同じようなビーム……その威力では、複数回ヒットしない限り俺たちにダメージをあたえることはできないはずだ。


俺はビームを回避しつつ、地上へと急ぐ。

徐々に魔境中心部にある施設が見えてきた。


「アム・レアー」


しかしもちろん、一筋縄では行かない。

対空射撃に紛れるようにして、中心の施設から多数のアンドロイド兵が飛来してくる。


俺はアム・レアーでアンドロイド兵に対応するが、いかんせん数が多い。


これさえ抜ければ施設にたどり着くことができる……まさにここが正念場だ。


「……シュライエット」


俺は切り札を一つ、ここで使うことにした。

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