第4話

澄火はまず、赤い電撃と青い電撃の球を作り出す。

澄火のユニークスキルのレベルが上がっているのか、赤い電撃と青い電撃を自由自在に生み出せるようになっているようだ。


「……閃け」


澄火はそれぞれの球を、地上の戦闘が起こっているその中心地に目掛けて放る。

莫大なエネルギーが放出され、探索者たちを地面ごと吹き飛ばす。


凄まじい粉塵が巻き起こり、戦闘地帯を覆い隠す。


「……ん。あれが黒子ビハインドザシーン


澄火はそういうと、互いを庇い合うように背中合わせになったコンビへと突撃していく。


随分と適当な選出に思えるが、言われてみれば確かにそんな感じもする。


「おい!俺は味方だ……ぐあああ!」


澄火の攻撃に、悲鳴を上げて倒れる探索者のコンビ。


……本当に黒子ビハインドザシーンなのか?


「……ん。お前もそうだ」


コンビを助けようと飛んできた別の探索者を澄火は拳で吹き飛ばす。

俺はその間に、倒れたコンビの体からデバイスを取り出す。

かなり厳重なセキュリティがかかっているが、この作戦に向けて麻奈さんから『悪用禁止』と言われて渡されたハッキングツールで突破する。


「……確かに黒子ビハインドザシーンだな」


ハッキングツールが勝手にあちこちのメールアプリやメッセージアプリから情報を収集する。


示された結果は、大量のメッセージやメールに紛れて黒子ビハインドザシーンの司令書が飛んできているというものだった。


おそらくは末端の構成員なのだろう。残念ながら、他に有用な情報はなかった。


「……と」


俺は死角からバリアを突破してきた攻撃を躱す。


「……ふむ。柔らかいな……紙切れのようだ」


白い外套を羽織った、槍を携えた女性はそう言って俺のバリアを鎧袖一触で破壊する。


黒子ビハインドザシーン特殊戦闘員『死神』……ここに見参」

「……『死神』」


シュライエットから名前は聞いている。確か、黒子ビハインドザシーンの最高戦力だ。


「……もう我々黒子ビハインドザシーンの核は逃げ仰せている。私の仕事は……今後組織の最大の敵となるであろう、君を排除することだ」

「それはそれは、随分と買ってくださっているようで」


俺は死神を睥睨し、両手に刀を召喚する。

感じる気配は、天使か、それを超えるレベルだ。


油断すれば、一瞬で死ぬだろう。


「では死にたまえ」


死神は槍を構え突っ込んでくる。

槍のリーチを活かした、単純だが凶悪な突き。

俺は二刀でそれを捌き、翼を展開して戦闘フィールドを二次元から三次元へと拡張する。


「ふん」


当たり前のように死神も飛行能力を持っており、俺と同じように自由自在に宙を舞う。


「空は俺のフィールド……『天翔』の異名の所以、見せてくれようか」


俺はそう見栄を切り、死神へと切り掛かった。

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