魔境攻略作戦“Ruin”
プロローグ
一週間後。
予定より少し早く、魔境“Ruin”の攻略が始まった。
魔境”Ruin”の特徴は、北欧神話を想起させる巨人が大量に徘徊していることである。
巨人たちはその見た目の反して機動力もあり、さらに炎や氷などの様々な能力を持っている。
まずはそれらを地上から一掃することが、作戦の最初の目標だ。
「作戦、開始。空戦部隊、出撃せよ」
総司令官である、現地……グリーンランドの探索者協会の協会長が司令を下す。
地上の巨人部隊を撃破するための策として考案されたのが、空からの絨毯爆撃だ。
もちろん巨人は再生能力を備えているものの、今日揃った探索者ならそれ以上のダメージを与えることができる。
「澄火、俺たちも行くぞ」
「……ん!」
俺は背中の羽を展開して、空へと羽搏く。
澄火は周囲に紫電を展開して、同じく俺の横を飛ぶ。
「攻撃位置についたな?では、作戦を開始する。一斉砲撃……放て!」
俺はアム・レアーによってビームを撃つと同時に、『炎刀・氷刀』の追加能力“絶界”を発動させ、飛ぶ斬撃を無数に生み出す。
澄火は隣で紫電の球を地上へと降り注がせている。
その他の探索者もそれぞれの能力を駆使して弾幕を作り出している。
種類も色もさまざまな弾幕が入り乱れ、幻想的とさえ言えるような光景が作り出されている。
「……来るな」
無数の攻撃を受ける巨人も黙っているわけではない。
飛行能力を持つ巨人はいないようだが、口からブレスを吐いたり、あるいはどういう原理なのか肩からビームを飛ばしたりして俺たちのを撃ち落とそうとしてくる。
「ま、当たらないがな」
『天輪』による領域生成、そして持ち前の直感がある俺にはそんな攻撃など無意味だ。
「……使うか。Code:L起動。アム・レアー拡散モード。全てを灼き尽くせ」
俺は戦闘服にエルが仕込んだ機能を発動させる。効果は、アーティファクトの能力を一時的に高めるというもの。
アム・レアーを強化しつつ、さらに全MPを投入して威力を高める。
「発射」
チカリ。
一瞬、世界が極彩色の閃光で埋め尽くされる。その後、凄まじい爆発が地上で巻き起こり、大量の粉塵を発生させる。
「風系の能力を持っているもの、粉塵をどけてください!」
総司令の通信が飛ぶ。
そうして晴れた景色に広がっていたのは、焼けこげてガラス状になった地面と、そして巨人どころか生物が全くいない死の大地だった。
と、巨人に埋め尽くされて場所すら把握できなかったダンジョンの入り口が露出しているのに気づいた。
「澄火、行くぞ」
「了解」
俺は早速そこへ目掛けて着地するのであった。
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