第4話
––––閃撃・終
俺はステータス出力を最大まで高め、炎刀による神速の抜刀術を放つ。
『能力奪取』によって高められたステータスによって、技の発生を認識することすら難しいはずの攻撃。
「Nullllll!」
しかしモンスターは、体の一部を変形させることによって俺の攻撃を避ける。
そして、カウンターの一撃を放ってきた。
「はあ!」
俺は氷刀でその攻撃を受ける。
モンスターはそれを意に介さないかのように剣を振るってくる。
「……やりにくいな」
モンスターは人型を保っているようでいて、その実不定形だ。
そのせいで、人間と可動域がかなり違うため、人相手のセオリーが全く通用しない。
「Nulllllllll!」
そしてこの唸り声だ。
何か特殊な音波でも含まれているのか、微妙に俺の集中を乱してくる。
とはいえ、まだまだ俺の手札は残っている。
––––絶界
俺は左右の二刀から無数の飛ぶ斬撃を発生させる。
戦いは数だと言ったのは誰だったか……まさにそれを示すように、モンスターに攻撃が通り、斬撃が刻まれていく。
「……鎖よ」
俺は
鎖は恐ろしいスピードで飛び、モンスターの体を縛り付ける。
「詰みだ」
俺はそのまま二刀で斬って止めを刺そうとする。
「……Nulll……オマママエエエエエッッッッッッツヨオオオオオイイイイイイガッガッガ」
俺の背中に不意にゾクリと寒気が走り、その場から飛び退く。俺の直感が、全力でその空間が危険だと警鐘を鳴らす。
その瞬間、モンスターが鎖を引きちぎり、俺のいた場所に剣を叩きつけた。
先ほどとは全く違う、暴力的な動き。いくら俺が『超回復』を持っているとはいえ、あれを喰らったらやばい。
あれを避け続けつつ、攻撃を入れていくのはだいぶ骨が折れそうだ。
……やはり、あれを使うしかないか。
俺はアーティファクトピース3『天輪』を円光の位置へと移動させる。
「……運命の愛……比翼の連理……忠義の献身」
「……アアアアアアアアイイイイイイイ」
モンスターは手当たり次第に周囲を攻撃する。俺はそれを半ば反射的に交わしながら、技を丁寧に構築していく。
「……愛の契約……天使。交わらぬ道は一つとなり、進む。全てが消えるその日まで」
天輪から5色の光が後光のように伸びる。
「ここに我らの世界を」
そして、最後の祝詞を紡ぐと同時に、天輪を中心として俺を主とする領域が顕現した。
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