第1話

“龍宮”攻略作戦の結果について

まずは簡単な統計から。


探索者側

死者:723名(うち自衛官562名)

重軽傷者:多数


解放者側

死者:210名

捕縛成功:28名


この作戦で解放者は壊滅。また、日本の潜在的脅威であった龍宮も崩壊させることに成功したわ。

周辺100km以上の封鎖が解除されることを考えても、この作戦のメリットは大きい。


だから、死者数に関してはあまり気にしないでちょうだい。すべての責任は、作戦の総司令官たる私にあるわ。


色々と事後処理もあることだし、次の魔境攻略はおそらく二週間後になるわ。


色々とよろしくね。


P.S.うちの旦那のわがままに応じてくれてありがとう。



以上がメールの本文である。

自衛官の死者数を見る限り、護衛艦が何隻が沈んだのだろう。


メールには気にしないでいいと書かれているが、俺が発案した作戦で出た死者だ。


これだけの犠牲が出たということだけは、心に留めておかなければならないだろう。


最後の追伸は、忘剣との戦闘を隼人さんに任せたことを言っているのだろう。


忘剣、か……


「……朝ごはんできたよ、旦那様」

「……ああ」


ぼんやりと思考を揺蕩わせていると、シュライエットが声をかけてくる。

俺はタブレットを脇に置いて、食卓についた。


本日の朝食は、トーストにベーコンエッグという、至ってシンプルなものである。


「それで旦那様。今日はどうするつもりなんだい?」

「そうだな……玲奈のところにも顔を出す必要はあるが……今日は家でまったりと過ごすかな。昨日の戦いの疲れもあるし」


昨日の戦闘は俺や澄火にとっては比較的軽い部類に入るものではあったが、精神的な疲れはかなりある。

シュライエットに至っては四肢を失うほどの戦闘だ……俺と同じか、それくらいに疲れがあるだろう。


それに、玲奈も結局作戦終了まで仕事をしながら通信を聞いていたようだし、疲れているだろう。

玲奈の家を訪問するのは、明日にした方が良さそうだ。


「……ふふ。まったりと……ね」


シュライエットが蠱惑的な流し目を送ってくる。

昨日はかなり夜遅かったし、経験上深くまで寝入ってしまった澄火が起きるまでまだかなりの時間がありそうだ。


まあつまり、そういうことではあるが……


「……まあ、色々とやることもあるしな」


俺はそれをスルーして、手を合わせて食後の挨拶をした。

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