第17話

突如ダンジョンの、ドドドドという轟音が鳴り響く。


「……自壊システムか?」


隼人さんはそう言うと、ふっと姿を消す。そしてまた戻ってきた。


「外の様子を見てきた。おそらくこのダンジョンはもう間も無く崩壊する……すぐに脱出すれば、おそらくは間に合いそうだ」

「了解です。俺たちはいつでも脱出可能ですが……彼らはどうしますか?」

「……お前の奪ったスキルでどうにかできないか?」


……なるほど。その手があったか。


俺はステータスのスキル一覧から、奪ったスキル……リスポーンの詳細を確かめる。



リスポーン

指定した人間を、設定したリスポーン地点で一度だけ蘇らせる。何人でも、何ヶ所でも設定可能。



比較的シンプルな説明文。ローマ数字のレベル表記がないことから、俺が持つ「スキル容量無限化」のように、おそらく最初から完成していて、成長しないタイプのスキルなのだろう。


俺は早速それを発動し、解放者のメンバー全員と、ついでに『円環』もリスポーンの対象に設定する。


「では俺は戻ります」

「ああ。俺もすぐに行く」


俺と澄火は連れ立って、シュライエットの元へとワープする。


「早かったね……旦那様」


ワープした先は、『死帝』の操るモンスターの上だった。


シュライエットがモンスターに保護されるようにして横たわっていて、その傍には傷だらけの『死帝』がいる。


一体どんな戦闘を繰り広げたのか、シュライエットは右腕と左足……そして、左目までを失ってしまっている。


「いつもポーションとかをしまっている子がやられてしまってね。できればポーションを恵んで欲しいね」

「ああ」


俺は『死帝』にポーションを放り投げ、リスポーン地点を設定してからシュライエットの傍へと行く。


そして、最高級ポーションを口に含むと、シュライエットに自身の体液と共に口移しで飲ませていく。

『色欲』の権能によってシュライエットのステータスがわずかに増加したことも相まって、シュライエットの右腕と左足が再生していく。

しかし、左目はいつまで経っても再生しなかった。


もう一本ポーションを飲ませようと腕輪から取り出した俺を、シュライエットは押し留める。


「もう十分だよ、旦那様。この目は治らない……この傷をつけた奴が、“回復不能”とかいうユニークスキルを持っていたらしいからね」


回復不能……それを解除する手段は……


「……澄火」

「ん。私じゃ無理。麻奈さんなら……」

「残念だけど、ユニークスキルの効果は解除できないかな」


と、会話を聞いていたらしい麻奈さんから通信が入る。


「お疲れ様……作戦は概ね成功ね。被害は出ているけど、魔境のモンスターの掃討は順調に進んでいるわ。作戦終了まで、そこで待機しておきなさい」

「……では、お言葉に甘えて」


俺はシュライエットを抱き起こし、俺に寄り掛からせるようにして俺の隣に座らせる。

寂しくなったのか、澄火も寄ってきてもう片側に座り、俺に頭を預けてきた。

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