第14話

俺はステータスと引き換えに、『解放者』のメンバーの持つユニークスキルを悉く奪っていく。


まずは奥にいるワープスキル持ちから、紅のエネルギーが。上から降ってきた大男からは、緑のエネルギーが。それぞれ俺に流れてくる。

あとユニークスキルを持っているのは……


「うおおおお!」


忘剣はそう叫ぶと、黒いエネルギーに抵抗しようともがく。身につけているアクセサリーの幾つかが、灰となって空気に溶けていく。


「……時間切れか」


そして、ふっと黒いモヤは消え去った。

奪えたユニークスキルはたった二つ……消費するステータスの量を考えたら、適切な数とも言える。


「……小僧……今何をした?」

「さあな」


俺はステータスを開き、スキル一覧を呼び出す。



権能

色欲


ユニークスキル

能力奪取II

炎刀・氷刀Ⅶ

超回復Ⅲ

リスポーン


スキル

スキル容量無限化


どうやら大男が持っていたのが超回復Ⅲであり、リスポーンというのが俺たちが求めていたワープスキルだろう。


「ぬうん!」


大男は敵前でステータス画面を開くという相手を舐め切った行動をとる俺に、拳を叩きつけようとしてくる。


––––閃打


俺は大男の拳に自身の拳を重ねるようにして拳打を放つ。

2人分の高いステータスが相乗効果を産み、俺の右腕全てと、大男の右拳が吹き飛んだ。


しかしこの交換ならば、俺の方が圧倒的に有利である。ずるりと飛び出すようにして、戦闘服と共に俺の腕が一瞬で再生する。


「貴様……俺の超回復Ⅲを奪ったな?」

「そんなことできるわけないだろ?」


俺はそう惚ける。態度が癇に障ったのか、大男は右手を失ったのを全く気にせずにこちらへ突っ込んでくる。

俺は炎刀を召喚して、鞘から引き抜く。


––––閃撃・刈命


ステータス出力を極大にし、刀を振るう。大男の首に斬撃が走り、その命を容赦なく摘み取った。


「後は俺が処理しよう」


空中に無数の輪が現れて、澄火の紫電が部屋に走り、一時的に敵の動きを止めたその直後、輪が飛んで部屋にいる敵を全て拘束していく。


「うおおおお!」


『忘剣』はそう吠えると、輪を斬って煙による攻撃を仕掛けてくる。

俺はその攻撃を『天輪』で無効化し、掲げる。


「悪いな、『天翔』。ここは譲ってくれないか」


突如俺の背後に聞き覚えのある声を持つ人物は出現する。俺は刀を鞘に納め、振り向いた。


「いいですよ、『瞬剣』。何やら因縁もあるみたいですし」

「ありがとう。このお礼はいつか必ずしよう」


そういうと、『瞬剣』は大剣を構え、俺の前に出た。

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