第5話 作戦開始

そして、あっという間に一週間後になった。


その間、俺たちはは魔境攻略、そしてその後の解放者の捕縛作戦に向けたをし、万全の体制を整えた。


「……これより警戒海域に入る!総員、警戒体制を取れ!」


そして今、俺たち探索者はそれぞれ自衛隊の護衛艦に乗り込み、魔境“龍宮”へと向かっていた。

海外からも多数の探索者が参加する、総勢千人による史上類を見ない作戦である。


「……ん。そろそろ」

「旦那様」

「……ああ。行こうか」


俺は聖痕スティグマを発動させ、リリアが持っているものとそっくりな羽を背中に展開する。

ピース4を背中に展開し、澄火とシュライエットと手を繋いだ。


「行くぞ!」


エンジンにMPをこめて起動するのと同時に、羽にぐっと力をこめる。

そして、俺たちはそれへと舞い上がった。


「ふふふ。お揃いですね」


と、リリアが俺のそばにきてそう嬉しそうに笑った。


「他のS級以上のメンバーの中で、飛行能力を持っている者ももう向かっています。作戦開始時刻は予定通り、だそうですよ」

「了解です」


この作戦でのリリアの役割は、“防衛”、および“連絡”である。


リリアの超高機動性、そして戦闘力から、間延びした陣形を防衛する任務と、そして間違いなく混乱するであろう作戦司令部と前線との通信役を担っている。


ちなみに、本作戦の総司令官は麻奈さんだ。


「では」


リリアはそう言ってふっとその場から消え去る。速度にさらなる磨きがかかっているようだ。


俺は羽を広げて、龍宮の方へと飛翔する。


「……ん。そろそろ?」


澄火がそう言って遠くを見る。一帯の龍が悠々と飛んでいた。


調査によると、龍宮のモンスターは二種の系統に分かれる。龍と、そしてそれに付き従う鳥だ。

モンスター群はそれぞれ種別やその強さによって役割が分かれていて、今見えているのは周囲を飛び回る警邏のモンスターだ。


一匹の龍と、そして怪鳥が数十匹……十分な実力があればS級未満の探索者でも十分相手できるレベルの敵だが、しかし一度戦闘状態になれば周囲から大量のモンスターを呼び寄せるため、迂闊に手は出せない厄介な相手だ。


俺は雲の間に隠れて、龍の感知範囲に入らないように注意する。


『…………総員、準備はよろしいですね?』


耳元につけた無線機に、総司令官の麻奈さんからの通信が入る。


魔境の近くだからか、かなりノイズが混じっている。この調子だと、やはり通信機器は使うのが難しそうだ。


『では、作戦を開始します……3、2、1」


俺は作戦開始の合図がなると同時にアム・レアーを起動し、警邏中の龍を急襲した。


魔境“龍宮”攻略作戦……スタートだ。

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