第6話

アム・レアーから放たれた幾条もの光線が、龍と、そしてその取り巻きのモンスターたちを貫く。


俺たちの他の場所でも、同じ様に警邏のモンスターが強襲をかけられているはずだ。


その数秒後、魔境のある方角から、ジェットエンジンの轟音のような唸り声が響いてくる。


「……ん。行こう」

「おう」


俺は背中にあるピース4にMPを送り込み、魔境の方へと飛ぶ。

すると、駆けつけてきた大量のモンスター群が前方に見えてきた。


「……よし。シュライエット、頼む」

「任されたよ、旦那様」


シュライエットは手のひらに意識を集中させる。そして遠くのモンスター群を睨むと、こう呟いた。


「……爆縮・改」


レーザーのようなものがシュライエットの掌から発射され、モンスター群を左から右へと薙ぐ。


レーザーがないだとことでスッパリとモンスターが切断され、切り裂かれたモンスターが海へと堕ちていく。


ちょっと背筋が寒くなる光景である。

現状ではタメの時間が必要なため連射はできず、また発射までに時間がかかってしまうが、それでも十分強力だ。


「どう?旦那様」

「……凄まじいな。俺と戦った時より、数倍は強くなってるんじゃないか?」

「ふふふ」


シュライエットは嬉しそうに笑った。


「……ん。すごい」


澄火は私ももっと強力な技を!とでも言いたげな顔をしている。


「……俺も負けていられないな」


俺は氷刀を顕現させ、鍔を一寸ほど持ち上げる。澄火とシュライエットから手を離し、モンスター群の中を駆け抜けていく。


––––絶界・氷獄


俺は氷刀の能力を使用し、周囲に無数の斬撃を発生させる。澄火とシュライエットのそばに戻り、俺は刀を納める。


龍やその取り巻きの鳥は、バラバラになって落下していく。


「……ん。行けそう」

「だな。……突入するぞ」

「……ん」


晴れているはずなのに、魔境の方は闇に染まっている。モンスターの密度が高すぎて。光が届いていないのだ。


それが見えるのが、大体5キロほど先……魔境から25kmの地点だ。つまり、大体魔境の半径25kmの範囲が闇に染まっていることになる。


そして、その闇はだんだんとこちらへと近づいてきている。


あの大量のモンスターの処理は後方に控える多数の探索者の仕事だ。俺たちS級以上の探索者に仕事は、あそこに突っ込んで魔境の中へと突入することである。


俺は澄火とシュライエットの手を掴むと、背中の翼に力を込め、前方に加速した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る