エピローグ
もう何もないと判断した俺は、玲奈の用意してくれたプライベートジェットに乗り、帰国の途についた。
「……ん。何か見つかった?」
家に帰ると、澄火が出迎えてくれる。
澄火はあまり感情を表情に出すタイプではないので分かりにくいが、なんだかちょっぴり機嫌が悪そうだ。
「……何かあったのか?」
「……ん。別に何もない。ないったらない」
……まあいい。あまり深く突っ込まないことにしよう。
「……それで、何か見つかった?」
「ああ。まずはこの資料を見てくれ」
俺は五枚の資料を渡す。
澄火はぱらりぱらりとめくり、
「……
澄火は“Ruin”に関しての記述に目を留めてそう呟く。怒りを反映してか、澄火から紫の花火がチリチリと周囲に放出される。
俺は澄火の手に自身の手を重ね、そっと握る。
「……ん。大丈夫。……それで、どうするの?」
「魔境の攻略をしたい。最低でも、HopeとOriginの二つは」
「……ん。でも、私たちだけだと確実に無理」
「ああ」
先日の龍宮のダンジョン災害でさえ、平定にはSSS級探索者である『天使』、SS級の『死帝』といったこの国の最高戦力を含む多くの人手が必要になった。
攻略しようと思ったら、少なくとも防衛にあたった戦力の三倍以上の戦力がいる。
海外の探索者を動員する必要もあるだろう。
そう考えると、攻略はかなり大規模な作戦になるだろう。
戦況をコントロールする人間がいなければ、戦場は混乱に陥り、作戦は失敗に終わるだろう。
「麻奈さんの力が、確実に必要だな」
『支配者』である麻奈さんならば、この作戦を細部まで立案し、実行することができる。
そのコネクションを活かして、海外の魔境攻略も円滑に進めることができるだろう。
「……ん。それから、玲奈の力も」
「……ああ」
作戦には大量の物資が必要になる。
それに、探索者を動かすのにも多額の資金がいる。
玲奈であれば、それらを手配することが可能だ。尤も、彼女は商人を自認しているため、たとえ婚約者の頼みであっても利益が得られないものであれば即座に却下するだろうが……
「……ん。そうと決まれば」
「ああ。玲奈と麻奈さんに協力を要請しに行こう。まずは、解放者の本拠地……龍宮からだ」
「……龍宮から?」
「ああ。龍宮さえ攻略してしまえば……あとの攻略は大きく簡単になる」
俺はタブレットを取り出して、早速玲奈と麻奈さんにアポを取った。
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