第2話 権能

いつもの自衛隊・警察の警備を突破して、俺たちは金沢ダンジョンに到着した。


もちろんまず行うのは、ステータスチェックである。


若槻 翔

レベル210

HP 11738/11738

MP 21689/21689

SP 0

筋力 13421

魔力 13216

敏捷 13916

耐久 13789

器用 13912


この前、ついに全てのステータスが一万を突破した。

ちなみに、SSS級探索者であるリリアのステータスが、平均2.5万とからしい。


最近はかなり強力なモンスターも倒せるようになり、能力奪取によって追加されるステータスも増加している。

あと三ヶ月もすれば、ステータスの数字自体はリリアに追いつくことができるだろう。


最も、スキルの差がある––––それも、「ある」と「ない」の差だ––––ので、それを埋めるにはその数倍のステータスが必要だろう。


一例を挙げると、最大MP上昇というスキルがあり、これでMPの最大値を10倍にまで引き上げることができるらしい。

俺にはそのような便利なスキルは能力奪取の副次効果により取得できない制限があるので、追いつくにはひたすら能力奪取とレベルアップによるステータス上昇を行う必要がある。


俺はふいっとフリックして、スキル一覧に画面を切り替える。


権能

色欲

ユニークスキル

能力奪取I

スキル

スキルの種


「うえっ!?」

「……?どかした?」


思わず俺の口から変な声が漏れる。

なんか、全く身に覚えのないスキル……いや、権能が出現している。

スキルはともかく、権能というのは初めて聞いた言葉だ。澄火が好きそうな、厨二心あふれる言葉である。確か、元は法律用語か何かであったか。


俺は「なんでもない」と誤魔化すように澄火に答え、画面をタップして詳細を確かめる。



色欲

『大罪』の権能。



これだけしか出てこない。「大罪」や「権能」といった文字をクリックしてみても、特に何も出てこなかった。


試しに「色欲」と念じてみる。


何かが動いた……あるいは作用したような気がするが、それが何かはわからなかった。


……そういえば、「大罪」なんていう組織があるんだっけか。この権能を持っていることが知られたらとても面倒なことになりそうだ。


俺はステータス画面を閉じる。


とりあえず、この権能は知らなかったことにしておこう。


「行くか、澄火」

「……ん」

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