第7話 蒼紫霜電

「……それで、澄火」

「ん?」

「なんだったんだ?今の」


俺の想定としては、凍らせたモヤのモンスターを砕くような……もう少し穏便な攻撃を想定していたのだが。


「……ん。「紫電」のレベルが上がって、紫電を赤い電撃と青い電撃に分離できるようになった。こうやって」


澄火は小さな紫電の球を空中に生成すると、ジジジジと周囲にプラズマを発生させながら赤い電撃の球と青い電撃の球に分離させる。


「……この二つはある程度は操作できるけど、何もしないと猛烈なスピードで引き合っていく」

「なるほどな」

「そして、この二つの電撃は、合わさると……」


澄火はひょいっとそれらを放り投げる。


空中で二つの球は猛烈なスピードで引き合い、接触した。

その瞬間、バチリという音がして猛烈な熱が接触地点から放出された。


紫電はしばらく余韻のように荒れ狂った後、ふっと消滅した。


「……ん。エネルギーを放出して消滅する」

「なるほどな。赤い電撃か青い電撃だけを生み出すことはできないのか?」

「今の所は無理。紫電から分離させないと」


制約はあるにせよ、かなり強力な力だ。俺の蒼刀と組み合わせれば、先ほどのように猛烈な圧力変化を周囲に起こすことができる。


「……ん、宝箱」


と、澄火が指差す。


モヤのようなモンスターがいた場所に、宝箱が鎮座していた。その向こうには、次の階層への道が開いている。


澄火は宝箱に近づくと、無造作に開く。中に入っているのは、モンスターの魔石と、ポーションが入った瓶が10個。

どれも最高級品に分類されるものだ。


「……ん。ポーション」

「ああ。俺たちで半分ずつ持っておこう。使う機会が来ないで欲しいけど」


大体ポーションを使わなくてはいけない事態というのは、負傷した時である。


「……ま、先に進むか」

「……ん」


俺たちは再び、その後の探索を始めた。


やはり俺たちもかなり強くなっている。21階層からも特にペースを落とすことなく探索を続け、40階層のボスを蒼紫霜電そうしそうでんで倒し、あっという間に60階層へと来た。

今までに潜ったことがないほどに深い階層だ。


ちなみに、蒼紫霜電そうしそうでんというのは、先ほどモヤのモンスターに使った、俺の蒼刀で敵を凍らせ、澄火の紫電の攻撃で氷を敵ごと溶かして圧力による爆発を起こすコンボのことである。

命名者は澄火だ。今後もボス戦なんかでは多用していくことになりそうだ。


ダンジョンの扉を開けると、20階層、40階層と同じように闘技場だった。中に進むと、観客席との間に柵が下される。


そして、しゅたっとステージの中央に三人の人影が降り立った。

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