第3話 新スキル

そしてその翌日。

アーティファクトの探索が一日で終わったため、まだ訓練の開始まで2日ある。


それまで俺たちがやることといえば、当然……ダンジョン探索である。


「なんかすごい久々な感じがするな。まともなダンジョン探索は」


せいぜい一週間ぶりとかなので、実際にはそんなことはないが……体感時間は実際のそれとは違うという話だ。


本日来ているのは、東京都の奥多摩にある奥多摩ダンジョン。

以前探索されたのは三ヶ月前なので、深くまで潜れば結構な戦果を持って帰ることができるだろう。


「……ステータス」



若槻 翔

レベル103

HP 4657/4657

MP 9341/9341

SP 0

筋力 3561

魔力 3816

敏捷 3916

耐久 3521

器用 3826



黒服を殺したおかげか、以前確認した時と比べて少しステータスが上がっている。

俺はついっとステータス画面をフリックする。

スキルスクロールを使ったので、なんらかのスキルがあるはずだと思ったのだが……予想とは少々異なる結果が表示された。



ユニークスキル

能力奪取I

スキル

スキルの種



スキルの種。これが、スキルスクロールで得たものだろうか?

種というからには、いずれ発芽してスキルへと変化するものなのだろうか。


俺は腕輪からタブレットを取り出して、データベースに検索をかけてみる。

ここならギリギリ電波も届くので、いつもアクセスしているオフラインデータベースではなくオンラインデータベースにアクセスすることができる。


「……お」


どうやら以前にもスキルスクロールを使って「スキルの種」を入手した人がいるらしく、協会の研究者による分析が載っていた。



スキルの種

一定条件によって、別のスキルへと変化するスキル。前例より考察すると、所有者が危機に反応して開花するものと思われる。変化後のスキルには通常の手段では取得できない希少なスキルが多い。



所有者の危機に反応……なんというか、あまり考えたくはない事態だ。

スキルを開花させたいようなさせたくないような……なんだかとても微妙な感じだ。


「……ん、それが手に入れたスキル?」

「ああ」


と、自分のステータスとスキルを確認し終わった澄火がヒョイっと横から覗き込んでくる。


「……ん。開花が楽しみ」

「ああ。どうなるかはわからないがな」

「大丈夫。きっといいスキルになる」

「ありがとう、澄火」


お礼を言うと、澄火は微笑んで腕輪から短剣を取り出す。オークションで三億円で落としたガラクタ剣の中にあった鑑定不能の奴だ。


「銃も試さないとな」

「……ん!」

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