第7話 到着

そんな会話を交わしつつ、俺たちは空港で咲良さんと別れ、中国行きの飛行機に飛び乗った。


プライベートジェットということも相まって、あっという間に中国天山山脈付近の空港に到着した。


「すごい景色だな」

「……ん」


山間部に拓かれた空港の外に出ると、すでに雄大な景色が広がっていた。


俺は虚空から羅針盤を取り出す。針は山の向こうを指している。


「……よし」


俺たちは羅針盤の指す方向……つまり、山の中へと走っていく。

軽装で、とても山に入るのに適した格好ではないが、ダンジョン探索者たる俺たちにとっては些細な問題である。


俺たちはある程度人里から離れたところで、ステータスの力を活用して空中へと跳躍した。


本来はステータスの力のダンジョン外での使用は禁止されている。

この前オークション会場で使用したのは、そんなこと気にせずに街中でユニークスキルをぶっ放すような輩が襲撃を仕掛けてきたからである。


しかし、中国ダンジョン探索者協会から、ある程度人里から離れたらステータス能力を使ってもいいとの許可がもらえた。

もちろん、麻奈さんの威光あってのことである。


そのままニャルトラ・ステップを活用しつつ空中を進むこと10分。


「……ん」

「……わかってる」


俺たちは反転し、方へと跳ぶ


「うわ!」


空間が歪み、中からガラの悪い数人の男女が出てきた。


実際には、空間を歪めていたわけではなく、おそらく俺たちの認識から逃れていたため空間が歪んだように見えただけだろう。


「なんだ?お前ら」

「––––––––!」

「…………?」


中国語で話されたので、何を言っているのかわからなかった。

やがて身振り手振りで、意思を示してくる。


俺が手に持っている羅針盤を指差し、次に自分を指差す。


……まだ少し意味がよくわからないが、なんにせよロクな手合いじゃなさそうだ。


「……ぶっ飛ばす?」

「……いやいや」


なんだか過激なことを言う澄火を押し留める。

ここでぶっ飛ばしたら、逆に俺たちが犯罪者である。


「……仕方ない」


俺は澄火を抱き抱え、その場を離脱する。


「––––––––!」


慌てて追いかけてくる。が、無駄なことだ。


「……ん。『纏雷』」


澄火が、接触している俺ごと巻き込むように紫電で身体能力を強化する。


「『加速装置』」


そして、ステータス出力を大幅に上昇させ、上空へと跳ぶ。そして、ある一定の高度が確保できたところで、水平方向への移動を開始した。

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