第4話 地下
ダンジョン協会本部の建物の地上部分は、普通の会社と一緒だ。
会議室があり、協会長室をはじめとする重役の部屋があり、そして協会で働く人が日夜仕事をするスペースがある。
しかし、地下部分はまるで違った様相を呈している。
B1-B5はシェルターである。大体、一千人×五=五千人を収容できるスペースがあり、有事の際に使われるようだ。
B6階は倉庫。魔石やポーション、備蓄物質などなど、一般市場にも流通している品が大量に保管されている。
B7も同じく倉庫だが、B6とは違い一般には流通しないダンジョンから算出された品々が収められている。
B8-9は空洞。今の所、何もない。
そして、B10からはセキュリティが跳ね上がる。まず、B11-15まで、5階にわたって研究フロアが入っている。
ちなみに、物を鑑定するユニークスキルを所持している、オークションで司会をやっていた杉山理香さんはここで暮らしているらしい。
彼女に限らず、大抵の研究者はここで生活し、太陽の光を浴びることはかなり少ないようだ。
とはいえ、ダンジョンから産出した品を使っていてかなり生活水準は高いらしいが。
B16も倉庫だが、上二つとは比にならないヤバいものが、半ば封印する形で収められている。
例えば、喋る杖、明らかに現代の技術から逸脱した技術で作られたコールスリープポッド(中身入り)、などなど。
研究者が解析を続け、その正体が判明したものが実践投入されていっているそうだ。
そしてその下、B17-19の再びの空洞を通り抜けた先、B20は監獄エリアである。
普通の犯罪者はここへ入ることはない。
一般人なら通常の監獄で十分だし、そこまで強力ではない探索者ならば、ステータスを抑えるアクセサリーがあれば十分にその力を抑え込める。
ここに収容されているのは、ある意味ではB16に収められているものより危険な存在––––ユニークスキルを所持しているか、あるいは高レベルに至っている探索者能力を持つ犯罪者である。
「だから、『天翔』『紫電』の二つ名を持つまでの強さを持つ君たちも、悪さをしたらここにぶち込まれるからね。多分、捕まえるのは『天使』かな」
「怖いこと言わないでくださいよ」
俺は肩をすくめる。
そんな雑談をしているうちに、ガシャンとB20へとエレベーターが到着した。
カツーンカツーンと歩く音が木霊する。そして、一つの扉へと辿り着いた。
ピピっと軽く認証を済ませ、中に入る。
「あらいらっしゃい」
そんな優雅な挨拶と共に出迎えたのは、ゴツい枷を両手両足に嵌められ、部屋から出られないようにされている『バク』だった。
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