第3部 S級
第一章 序列会議
プロローグ
ゆったりとした休日を過ごした、その翌日の朝10:00。
俺たちは熊川さんに召集され、日本ダンジョン探索者協会の会議に出席していた。
会議が終わり次第、アーティファクトの探索を始める予定だ。
「……ではこれより、日本ダンジョン探索者協会序列会議を始めます。一同、礼」
司会は熊川さん。会議に集まっているのは、次のメンバーである。
司会は熊川さん。この会議が序列会議というものなのだというのを俺はそこで初めて知った。
しかし、序列入り探索者は百人いるはずだが、ここに集まっているのは序列に入っていないはずの俺たちを除けば十四人。
随分と少ない。
「本日の会議の議題は四つ。序列の更新、オークション会場の事案の報告、それに伴う新しいランク制度ですね。と、その前に……新しい序列入り探索者として、そこの二名を加えます……若槻くん、星野さん、起立」
俺は言われた通りに立ち上がる。
「新たに序列入りすることが確定している、若槻くんと星野さんです。拍手」
パラパラとまばらな拍手が起こる。
なんか、アウェー感がすごい。
俺はとりあえず一礼して着席する。
「そしてこの場にいる面々の序列の公開……の前に、異名決定と行きましょうか」
「……またあれをやるのか?前回何時間かかったっけ?」
と、出席している『天使』の隣に座っている、現在序列二位の『炎人』。
「三時間くらいだっけ?」
「でもまあ、今回は早めに決まるだろう。星野の方は『紫電』でいいか?」
「……ん」
名前はわからないが、どことなく魔法使いのような男の提案に澄火は頷いた。
「それで、君は……えっと」
沈黙が場を支配する。
「だあー!またこのパターンかよ!おい、なんかビデオとかあるんだろ?そっちを先に映せ!」
「では、そのようにしましょうか」
熊川さんは手元のパソコンを操作する。
すると、どこから撮ったものなのか、俺とバク、そして天使と堕天の戦闘が再生された。
カメラに捉えられるような動きをしていないので、何をしているのかはかなり脳内での補完が必要となる映像だが。
「……勇者とか?」
「大馬鹿者の間違いだろ。俺だってこいつと堕天の戦いに首突っ込もうとは思わねー」
映像が終わると、『炎人』はそう言ってぐいっと天使を指差す。
「冗談はともかくとして、結局何にします?」
「……『天翔』とかでどう?」
と、澄火が提案した。なんだか、あらかじめ考えていたものをここぞというときに出したみたいな感じだった。
「おお、いいな!じゃあ二つ名は『天翔』にするか!……俺よりかっこいいのが腹たつが」
「じゃあ私の二つ名はどうなるんですか……」
『炎人』がそういうと、なんだか不吉な空気を纏った人がそうボソリと呟いた。
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