第8話 プレゼント開封

各国のVIP––––国籍も属性もバラバラ––––な人からの贈り物。当然、趣向もバラバラだ。


後で、贈り物の感謝を伝える手紙の書き方や送り方とかを熊川さんに聞くとしよう。


「……結構美術品が多いな」

「……ん」


絵画が10点、彫刻が5点ほどある。

絵画は一部屋一つずつ飾ることにして、彫刻はダイニングとリビングに二つ、玄関に一つといった感じで配置するのがいいだろう。


「……見て、これ」


澄火が開封したのは、今現在現役で稼働している船の立体モデル。

実際の船と、同じ素材で作られたものらしい。どうやら、造船業が盛んな国からの贈り物のようだ。

スケールは、だいたい1/500といったところか。結構大きい。


「……寝室に置く?」


澄火はキラキラとした目で模型を眺めている。意外と澄火はこういうのが好きなようだ。


かくいう俺も、嫌いではない。


「いいぞ」


俺はそう言って、工業国だという記憶のある国からの贈り物をどんどん開けていく。


すると、船を送ってきた国と同じ発想なのか、レトロな戦闘機の模型、そしてこれまたレトロな帆船の模型が出てきた。


双方共に古びたような加工がされていて、趣深い感じに仕上がっている。


「これも寝室に飾るか」

「……ん!」


澄火は強く頷いた。

ひとまず包装の類を片付け、絵や彫刻、模型を各部屋へと運んで飾る。


殺風景な部屋が、一気に華やいだ。


「……いい感じだな」

「……ん」


しばしそれを眺めたあと、俺たちは開封を続けて行く。


他には、食器類(ありがたく使わせていただく)、宝石類や装飾品(特に特殊な能力はなさそうなので、まとめて棚の奥底に放り込んでおいた)が多い。


そして、いよいよダンジョン産の品々の開封である。


指輪三対はすでに澄火が開封している。他には……


「ん、剣帯」


澄火が開封したのを渡してくる。


「あれ?そういえば俺の剣帯……」

「ん、ちぎれ飛んでぐちゃぐちゃになってた」


初耳だ。

紅刀は腕輪にあり、蒼刀はバクから引っこ抜かれたやつが寝室に置かれているのを回収したので、メイン装備は無事なのは確認しているが。


「……んじゃ、これからはこれを使うことになりそうだな」

「……ん」


抜刀術を結構な頻度で使う都合上、ガイドとしての剣帯はあった方が便利だ。


「なんか追加効果はあるか?」

「……んー……魔力を込めると、武器を自動で綺麗な状態に保ってくれる……らしい?」


……なんというか、微妙な効果だ。紅刀は能力を発動させれば汚れを全部落とせるし、蒼刀も同様である。

まあ、無いよりはいいといったところか。


「あとは……なんだこれ?首輪?」

「……ん、チョーカー。女性用だね。……美肌効果があるらしいよ」

「……うーん」


ステータスが上がった女性は……というか男性も、体内が最適な状態に保たれるため肌が綺麗になる傾向にある。

天使や熊川さんが美人・美少女なのは、その辺りも関係している。澄火も最近、美少女度が増している感じだ。


つまりこのチョーカー、探索者にとっては無用の長物だ。


「……まあ、しまっとくか」

「……ん」

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