第6話 爆縮
ビームと爆発の応酬。
明後日の方向に外れたビームや、大きな爆発によって周囲の建物に結構大きな被害が出ている。
しかし、そのおかげというべきか、だいぶバクのスキルの詳細も見えてきた。
俺は爆発を回避して、ビームを四本放つ。
それぞれがまるで意思を持っているかのように動き、バクを追尾する。
「ふふ」
しかし、バクはそれらを身を屈めることで回避する。
ビームの動きは発射された後には変えようがないので、あらかじめインプットしておく必要がある。
今の動きも、事前にバクの動きを読んでビームにインプットしておいた軌道を描いているにすぎない。
今までにビームが命中した回数は6回。しかし、装飾品に肩代わりさせたり、服の装甲をうまく使われたりして未だ致命傷となる攻撃は入れられていない。
と、ふいにバクが口を開く。
「私のスキルはね、爆破連鎖……体の表面で爆発を起こして、それを自由自在に連鎖させることができるの……こんなふうにね」
ボボボボボボとこちらに爆発を連鎖させてくるバク。俺はアム・レアーにMPを込め、ビームを拡散させて爆発を灼く。
すると、爆発の連鎖が停止した。
俺は返しにバクの前後左右から迫るビームを放ちつつ、返答する。
「知ってるよ。俺の周囲に急に出現したように見えたあの攻撃も、事前に見えないくらい小さい爆発を連鎖させてたってことだろ?
「ふふ。正解!」
それに、おそらくは爆発の範囲設定は球形に限られる。今まで一度も、歪んだ形の爆発は起きていない。
「だけどね、それだけじゃないんだ」
そういうと、バクは周囲に一際大きい爆発を発生させる。煙幕のように、煙が周囲に広がった。
俺は宙を蹴って風圧で煙を散らす。
すると、バクが中指、薬指、小指を折り曲げて銃の形を作り、人差し指をこちらへ向けていた。ちょうど、俺を射抜くような格好だ。
「爆発を応用すると、こういう真似もできる……爆縮」
––––
俺は寒気を感じ、限界速度で回避を試みる。
しかし、間に合わなかった。
バクの指先から出現したレーザーのような攻撃が、俺の腹を貫いた。
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