第3話 瞬剣
「……瞬剣?」
そういえば、水上さんの能力について、俺は全く知らない。
瞬剣……というからには、さっき俺の前にいつのまにか現れたような、瞬間移動を可能にするユニークスキルでも持っているのだろうか?
「……ふっ」
一瞬、水上さんの姿がかき消えたかと思うと、数十人にも及ぶ水上さんが出現する。
「……分身?」
数秒後、その全員が忘剣に向けて飛びかかる。
「はっ」
忘剣はその中から一つの攻撃を見極めて、攻撃を受け止める。
一瞬後、一つを除いて全ての水上さんが消失した。
「……幻影と瞬間移動の合わせ技?」
「お、正解だ……どうだ?これでお前だけだぞ?」
……
俺は獣人vs格闘家、そして指輪使いvs鞭使いを見る。すると、いつのまにか敵の獣人と指輪使いが切り伏せられていた。
戦っていた味方陣営はどうやら傷を癒すため澄火の結界内に退避したようだ。
「……あの幻影を出現させた数秒で?」
おそらく、あの幻影によって忘剣の動きを制限しているうちに戦いに集中していた敵を倒したのだろう。
「正解だ。……それで?新、降伏する気は?」
「解放者は降伏しないよ。貴様らダンジョン協会を潰すまで……ね」
「……あの事件は、ダンジョン協会が介入しようがしまいが結果は変わらなかった」
「そんなわけはない!」
不意に、ずっと冷静を保っていた忘剣が叫ぶ。
「彼女は生きていたはずだった!殺したのはお前たちダンジョン協会だ!」
「それは違う。彼女が死ぬのは運命だった。宿命だった。彼女があの日死ぬことは生まれた瞬間から決められていたことだった。……俺たちはそう結論づけたはずだ」
さっぱり話が見えてこないが、この話を世界中のVIPに聞かせるのは大変不味そうである。
俺はこっそりと王女から貰った腕輪(そういえば、名前をつけていない。あとで澄火と一緒に名前をつけることにしよう)を起動し、刀を収納する。
そして、
––––閃撃・終
俺は抜刀術を繰り出す。
「邪魔だ!」
予想通りというかなんというか、大剣を駆使して受け止められてしまったが、重要なのはそこではない。
「はっ!」
忘剣が先ほどとは桁違いのキレを持つ攻撃を仕掛けてくる。俺はアム・レアーを打ち込みつつニャルトラ・ステップで後ろに下がって攻撃を回避する。
ついでに爆破モードにしたニャルトラ・ステップで空間を蹴り付けておけば、忘剣の煙による攻撃もできない。
「貴様!」
忘剣は怒りを露わにして跳んで斬りかかってくるが、それをやって仕舞えば水上さんのいい的である。数十の自身の幻影と共に、水上さんが自身の剣で切り付ける。
俺もそれに合わせ、蒼刀から生み出した氷で攻撃をする。
俺の攻撃は大剣を盾にして避けた。だが……水上さんの攻撃が命中した。
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