第4章 襲撃
プロローグ
「澄火!」
「ん!」
おそらくここに集まっている探索者の中で最も強いのは俺たちだ。他の強力な探索者––––序列入りしている探索者は全員––––が、オンライン参加をしている。
つまり……俺たちが頑張らなくてはならない。
俺は頼れる相棒の名前を呼ぶ。すると、意図を汲み取った澄火が技を発動する。
––––紫電ノ守護
澄火は紫電によって会場全体を覆う強力な結界を作る。
かつて荻窪ダンジョンでも見せたものとは桁違いの持続と強度を誇るそれは、会場に降りたとうとしたものをバチリと弾いた。
これで、会場はある程度安全になるはずだ。
「サンキュー……行くぞ。閃撃・百花繚乱」
そして、一息に会場に降り立とうとしていた者たちを切り裂いた。
「……な!?」
手応えがおかしい。液体を切り裂いたという感覚ではなく、そのまま肉体を切り裂いたような感覚だ。もしや、俺は人を……
「ん!」
と、地上からの援護射撃が届き、俺が確認する間もなく切り裂いたものを灰に変えた。
俺は一旦結界の上に降りる。
できれば今すぐに会場の人間を避難させるべきだと思うが……どこに避難すべきかもわからない。今は澄火の結界の中にいる方が安全だろう。
とはいえ、会場では特にパニックは起きてない。さすが、ここに呼ばれているだけある……といったところか。
と、扉が三つ開き中から三人の人間が降りてきた。
「フハハ!黄昏時だ、我らの時間だ!……どうやら先遣隊は全滅ってとこか?いやはや、だらしがないな!」
と、アニメに登場する獣人のような見た目の大男。大剣を構えていて、おそらくパワータイプのファイターだと予測できる。見た目はスキルか……あるいはあまり考えたくないが、ユニークスキルの影響だろう。
「なんでもいいさ。我らが仕事をすればいいだけだ」
と、オッドアイのひょろひょろと痩せた男。武器は持ってないが、代わりにダンジョンから見つかったものと思われるローブを着ていて、同じくダンジョン産と思われる謎の指輪を身につけている。
「…………」
最後は、俺も出会ったことがある……「忘剣」だった。前回戦った時は全く手の内を見せなかったが……今回はおそらく本気で殺しに来るだろう。
「少年、我らも参戦しよう」
「護衛対象から許可はもらってる」
と、結界の中から2人の探索者が飛び出てきた。
俺たちよりは少しレベルが低く……またおそらくユニークスキルは持っていないと思われるが、それでも十分強力な探索者だ。
片方は珍しく鞭を武器にしていると思われる探索者。もう片方は、籠手を身につけた格闘家と思われる探索者だ。
「俺があの無口な人間を引き受けます。お二人は他の奴らを」
2人で果たして抑えられるかといったら疑問だが……それでも、やってもらうほかない。最悪、時間稼ぎだけでもしてもらわなければ困る。
現状、澄火は動かすことができない。
「了解、頼むぞ」
「……ふん。あの程度で止められるとでも?」
「フハハ!まあいいじゃねえか!……外を止めていられる時間は意外と短い。サッサと片付けるぞ」
「わかっている!散!」
三人がバッと散らばる。
俺はニャルトラ・ステップで宙を駆け、忘剣へと斬りかかった。
「また会ったな」
「……引け。死ぬぞ」
忘剣は相変わらずの大きな剣で俺の斬撃を受け止める。
「さて、それはどうかな」
会場に、忘剣vs俺、獣人vs格闘家、指輪vs鞭使いの構図が出来上がる。
本格的な戦闘の開始だ。
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