第10話 謎の品々

「お次に登場するのは、こちら!」


エルヴィーラ王女の助けを受けつつのち壇上に登場したのは一つの箱のようなものだった。メタリックな色をしていて、さまざまな機構が表面についていることがわかる。


「こちらいわゆるアーティファクト。たいていはアーティファクトはその機能がはっきりしているものですが……これはただの「カラクリ箱」としか鑑定で表示されませんでした。解き方も不明です」


なるほど……


俺はチラリとエルヴィーラ王女の横顔を見る。エルヴィーラ皇女は、真剣な顔でじっと箱を見ていた。


「箱自体が鑑定偽造された一種のシステムなのか、あるいはこの中に何かがあるのか……全くわかりません。解析に自信のあるそこのあなた!その目で確かめてみてください!では、入札を始めます!最低入札価格は一千万円です!」

「……一千万円」


と、隣からつぶやきが。エルヴィーラ王女が参戦するようだ。


そのまま11億円で落札しきってしまった。エルヴィーラ王女も結構な資産家のようだ。……まあ、あんな島を個人で所有して住んでいるくらいだ。資産家でもおかしくはない。


「ふふふ。楽しみですわね」

「……そういえば、アーティファクトって他の迷宮から出るものと何が違うんですか?」


落札後の挨拶を終えたエルヴィーラ王女に、俺は質問する。


「……そうですわね。簡単に言えば、古代文明の遺物がアーティファクトですわ。現在確認されている古代文明は、「超古代文明」、「エリュティラータ文明」、「ヒャイカハ文明」の三つです」

「……なるほど」


どれも初耳だ。


「若槻さんが装備なさっているのは、最も価値が高い「超古代文明」のものですわね。あれはおそらく、「ヒャイカハ」のものでしょう」

「……ありがとうございます」


三つの文明の違いとか、色々と気になることはあるが今は流しておくことにした。


「さあ!お次の品物はこちら!」


壇上に出たのは……錆びた剣だった。

本当に価値があるのかあれ?


「剣の部分には特に何の価値も見受けられませんね……一部解析が通らないので、おそらくあそこに何か秘密があるのだと思いますが」

「そう!こちら何の変哲もない……どころか無価値に感じられるこの品。しかし、ここに一部、鑑定を弾くものが存在します!さらにこの剣、謎の不壊属性持ち!」


ふかいぞくせい?


「壊れないってことですわね」


俺の頭にはてなマークが浮かんだのを見てエルヴィーラ王女がそっと耳打ちしてくれた。


「一体ここに何が隠されているのか!突き止めてみませんか?こちら最低落札価格は……」


うーん、スルーかな?

と、くいくいと可愛く俺の袖を引く澄火。


何やら物欲しそうな目をしている。


「ええ……」

「……なんとなく必要そう」

「……いいよ」


結果、3億円で落札した。なかなか安い。

流石に一部鑑定が通らない場所がある……というだけでは興味を惹かれるものは少なかったようだ。

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