第6話 いよいよ本番

挨拶回りに勤しむこと三日。

いよいよ今日は、オークション本番である。


今日から三日間かけて、世界中から持ち寄られたさまざまなものが競売にかけられる。チラリと聞いたところでは、億単位の金が平気で飛び交うとかなんとか。


現在の俺たちの資産は5.5億といったところ。せっかくだし、何かしら落札してみたいところだが……


「皆様、大変お待たせいたしました……只今より、第9回ダンジョンオークションを始めます!私は司会進行を務めます、序列入り探索者の咲良美香です!どうぞお見知りおきを!」


司会の席に登場したのは、なんと咲良さんだった。


あ、そっか。だから咲良さんは俺たちがエルヴィーラ王女の護衛につくことを知っていたのか……


「まず登場するのは……世界より集められた武器の数々です!海洋ダンジョンにおいて、実際に我々がその持てる力を引き出した映像付きでお送りします!」


咲良さんがそういうと、拍手が巻き起こった。


「それでは一品目!日本のとあるダンジョンから発見された、一振りの剣です!こちら我々の鑑定スキルによれば、「魔剣ジャムカイアン」との表示がなされています!」


そういうと、咲良さんは舞台中央を指し示す。

そこには、いかにも闇の力を持っていそうな禍々しい剣が置いてあった。なんだか握れば呪われそうだ。


「それでは映像の方お願いします!」


空中にホログラム映像が投影される。現在の科学技術では再現不可能な現象だ。

エルヴィーラ王女にチラリと視線を送ると、「おそらくはスキルによるものですわ」と耳打ちしてくれた。


俺の脳裏に、なんとなく倶利伽羅さんの顔が思い浮かんだ。


ホログラム映像の中では、魔剣を握った咲良さんが無人島のようなものの上に立っている。おもむろに咲良さんは魔剣にMPを込める。

すると、ジャムカイアンからドロドロと黒いエネルギーが漏れだす。前方の水面に向かってジャムカイアンが振られた後、黒いエネルギーはときはなたれて前方のあらゆるものを侵食し始めた。

……そう、水を含めて。水が無くなった空間に水が流れ込み、猛烈な水流を引き起こす。しばらくそうなった後、あたりはしんと静まった。


対照的に、会場に大きな拍手が巻き起こる。


なかなかに強力な能力を持った剣だ。


「ありがとうございます!こちら最低価格は100万円とさせていただきます!では入札開始!」


百万!三百万!五百万!……どんどん値段が釣り上がっていく。あっという間に、一億を突破し、一億八千五百万で止まった。


「王女はいいんですか?」

「ええ。もう解析は済みましたので……」


ちゃっかり王女は解析をしていたらしい。それにしては瞳に流れる文字は見えなかったが……どうやら、何らかの手段で隠していたようだ。


「もう入札はありませんか?……ないようですね。では、一億八千五百万での落札となります!」


落札をしたのは……オンライン参加している、アメリカのダンジョン探索者の1人のようだ。


「では次の品に参ります!次は……」

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