第2話 再会

そんなこんなで月日を過ごし、あっという間にオークション3日前となった。いよいよ、エルヴィーラ王女が来日する時である。


俺たちは映画でよくSPが身につけている黒服に身を包み、空港で待機していた。


ここからの一週間ほど、俺たちはエルヴィーラ王女と共に過ごすことになる。


「あ、来た」


と、澄火。

視線の先を見ると、垂直離着陸機が俺たちの前に着地しようとしていた。


結構すごい風だが。ダンジョンで鍛え上げられた俺たちにとっては全く問題ない。


垂直離着陸機は鈍重そうな見た目に反してふわりと着地する。そして中から、金髪の少女––––エルヴィーラが登場した。横にはローズさんが控えている。


相変わらず、その瞳はこの世の全ての知を凝縮したような光を湛えている。


「お久しぶりです」

「ふふふ。お久しぶりです、若槻さん、星野さん。その服装もお似合いですわ」

「ありがとうございます。今回の護衛の件については……」

「ええ、聞き及んでいますわ。では、早速参りましょうか。わたくしたちが泊まるのは、スターリットワールド……でしたか?」

「いえ、予定を変更して、グランドクリスマスでとのことです」


おそらくだが、なんらかの介入があるという情報があったのだろう。


「なるべくホテルから出ないように……と」

「ご配慮に感謝いたしますわ。……では、早速出発するとしましょうか」

「了解です……澄火」

「……ん」


打ち合わせ通り、澄火が各方面への連絡をする。

俺たちは連れ立って事前に用意されているリムジンへと乗り込む。


中には大きなソファが三つ置かれている。

エルヴィーラ王女はローズさんと共にその一つへ座り、向かいのソファを示してくる。


「失礼します」


俺はそういって澄火と共にソファへ座る。扉を閉めると、リムジンはゆっくりと動き出した。


警戒していたが、どうやら奴らは空港ではことを起こさない方針だったようだ。特に何も起こらなかった。


「……ふう」

「ふふふ。お飲みになりますか?」


と、いつのまにかローズさんが冷蔵庫を開けて飲み物を取り出していた。

現在エルヴィーラ王女のグラスに注がれているのは、最高級のグレープジュースである。

確か、エルヴィーラ王女の好物だったような気がする。


「では、ぜひ」

「この一ヶ月のことを聞かせてくださいな、特に先日崩壊した東北第3ダンジョンでのことを」

「……よくご存知で」


さすがの情報力だ。


「ふふふ。王女の肩書は伊達ではありませんことよ。それで?」

「……では僭越ながら。そもそも探索に駆り出されたのは……」

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