第1話 パーティ名
「パーティ名……必要ですか?」
「ええ。……というより、パーティ名をつけることで正式にパーティを結成して欲しいですね。でないと、クエストを出すのに困ります」
と、総務課の鈴木さん。
そういえば、東北第3ダンジョンの時は俺個人に対しての依頼だったか。
「パーティ名……どうする?」
「……んー」
せっかくだし、なんかいい感じの名前にしたいとこではある。
「天翔る炎とか?」
こういうのに結構強い澄火がぱっと一案を出してくれた。
天翔る炎……俺たちの名前からの連想か。
「あとは……Colorsとか?」
「なるほど」
澄火のユニークスキルの紫。俺の蒼刀、紅刀の赤青。確かに、俺たちのメインウエポンは色がアイデンティティなものが多い。
「いいんじゃないか?」
「Colors、でよろしいですか?」
「ええ。澄火もそれでいいよな?」
「ん。もちろん」
「では、そのように。私からは以上です」
そういうと、鈴木さんは口を閉じた。代わりに、花見さんが話し始める。
「では、わたくしからはエルヴィーラ王女の護衛について。詳しいお話をいたしますわ。現在、エルヴィーラ王女を狙う組織があるのはご存知ですわね?」
「
この前俺たちの前にアーティファクトを奪いに現れた。
「ええ。今回もおそらくなんらかの形で介入してくるでしょう……そういった脅威から守るため、強力で、かつエルヴィーラ王女と面識があるあなた方に護衛を依頼した……というわけです」
「……なるほど」
おそらく本来は、護衛をするのを専門としているか、あるいはそう言った依頼に詳しい探索者を護衛にあてるか、あるいはもう相手方に護衛の手配は任せてしまうのが普通なのだろう。
「そこで、ある程度護衛としてのマナーを学んでもらう必要があります。もしなんらかのミスが起これば、我々日本ダンジョン探索者協会の責任が問われる上、エルヴィーラ王女の評判を落とすことにも繋がりかねないので、そのつもりでいてください」
責任重大だ。
「では早速、座学からいきましょうか」
そういうと、花見さんはどさりと一冊のマニュアルを俺と澄火の前にそれぞれ置いた。
表紙には、「護衛マニュアルVer.11.2.3」と書かれている。OSのようなVer表記だ。
めちゃくちゃ分厚く、軽くペラペラとめくると三百ページくらいもあった。製作者のところには、しっかり熊川さんの名前が書かれている。
超忙しそうなのに、こんなものまで作ってたのか。
そこから数時間、俺たちは護衛の基礎から叩き込まれるのであった。
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