第12話 閃撃・墜雷

袈裟斬り、逆袈裟、蹴撃、切り上げ、突き……


俺はドラゴンの攻撃を避けつつ、連続攻撃を叩き込んでいく。

幸いにも、ドラゴンは再生能力はないタイプのようで、確実にドラゴンの皮膚に傷が増え、ボタボタと血が流れていく。


ドラゴンの血は結構な金額で取引されていたような気がするので、できれば確保したいところだが……仕方がない。


澄火の方をチラリと見ると、全身から紫電を放出して俺にエネルギーを供給しながら、はあはあと荒い息をついていた。


かなりのエネルギーを消費した結果なのか、あるいは体のコアのようなものを失ったせいか……あるいはその両方か。理由はわからないが、結構辛そうである。


できれば早めに決着をつけたいが……しかし、このペースだとドラゴンを討伐できるまでに結構時間がかかりそうである。


「……どうしたものか」


俺はドラゴンをよく観察し、どこかに弱点がないかじっくりと探す。


「……あ」


そういえば、たいていの生物に共通する弱点……眼球を攻撃していない。

おそらくは眼球もかなりの金額になると予想できるので、ぐちゃぐちゃに破壊するような真似はしたくはないが……


俺は眼球に狙いを定め、ニャルトラ・ステップで空間を蹴る。一瞬で瞼がシャッターにように降りて、俺の攻撃をガキンと弾いた。

切り傷すらついていない。


「……む」


閃撃とまでは行かずとも、結構なスピードの攻撃だったはずだが……やはりドラゴンも自分の弱点はわかっているのか、しっかりと防御してくるようだ。


「……若くん、そろそろ……まずい」


そろそろ澄火のMP……あるいは体が限界のようだ。

俺は視線を咲良さんの方へと動かす。さすがというべきか、もうすぐで討伐できそうである。


「……行くか」


俺はニャルトラ・ステップを起動して高く飛び上がり、一瞬で遥かに上空へと行く。一瞬見失ったドラゴンの隙を見逃さず、俺は加速装置・制限解除インフィニットアクセルを起動する。


そして、澄火が振り絞ってくれた最後の力・そして俺の残りの全てのMPを銘刀・紫電に込め、ニャルトラ・ステップを起動し、全ステータスを以って空間を蹴りつける。


––––閃撃・墜雷


そのまま抜刀術を放った。


ニャルトラ・ステップの踏み込み、重力による自然落下、そして銘刀・紫電のエネルギーを収束させた攻撃。


凄まじい轟音が鳴り響き、ドラゴンの首を四分の一ほど切断することに成功した。


「……あ、まずい」


そういえば、着地のこと考えてなかった。


「大丈夫だ」


俺の入れた切れ込みを起点にドラゴンの首を切断した咲良さんに受け止められた。


「ありがとうございます」

「ふふ。なかなかやるじゃないか」

「どうもです」

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