エピローグ

「……ん」


と、澄火がよろよろと戦闘が終わった俺の横に来る。

そして、手のひらを差し出してきた。


俺は刀を返せということだと解釈し、銘刀・紫電を渡す。


澄火は受け取ると、ずずずずと紫電を自分の中へとしまう。割と華奢な澄火の体に刀が飲み込まれていく光景は、少し奇妙に感じられた。


「……ん。疲れた」


澄火はそういうと、とさりと俺にもたれかかってくる。出した直後もぐったりしていたりしたいたし、結構反動は大きいみたいだ。


今後は油断せず、何か武器を持ち歩くようにすることにしよう。


「うにゃー……」


頭を撫でると、澄火はそう鳴いてぐりぐりと頭を手のひらにおしつけてくる。


「仲がいいんだな」

「相棒なので」


俺はアム・レアーを虚空に収納し、臨戦体制を解除する。見る感じ、もうこれでダンジョン災害は終わりのようだ。


「……なんとかなりましたね」

「まあこんなものさ。ユニークスキルを持つ高レベルの探索者が三人いれば、ダンジョン災害など簡単に片付く」

「……なるほど」


熊川さん然り、エルヴィーラ王女然り、俺たちの周りにはユニークスキル持ちが多いから忘れていたが、ユニークスキル持ちは本来は希少かつ強力なのだ。

過去の災害は、高レベル者やユニークスキル持ちがいないからこそ、あそこまでの被害が出てしまったのだ。


「さて、ここでダンジョンが発生したということは……どこかで崩壊している可能性があるな……まあ、おそらく大丈夫だとは思うが」

「……そうなんですか?」

「ああ。大体2年くらい前から、ダンジョンは今の数を維持しているんだ。一応、データベースで確かめてみろ」


俺は咲良さんに言われた通り、タブレットを取り出してデータベースを見る。幸いにもネット回線は生きているようで、リアルタイム情報を見ることに成功した。


「えーっと、崩壊したのは……東北第3ダンジョンですね……東北第3ダンジョン?」


なんだろう。ものすごく、聞き覚えのあるダンジョンだ。

ひょっとして、何かやらかしたか?


「ふむ。まあ寿命だろうな。東北の名が冠されたダンジョンはこれで全滅か……そろそろ関東も危なそうだな」

「確か最初期は、地方名が名付けられたんでしたっけ」

「ああ。よし、私はこれで帰ろう。あとはたのむぞ」

「……はい?」


そういうと、咲良さんはひょいっといなくなった。

どうやら、自衛隊と警察の対応は俺たち2人でやることになりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る