第1話 東北第3ダンジョン

「さて……」


現在、俺たちがいるのは東北第3ダンジョンに入ってすぐの曲がり角。ちょうど自衛隊員の人の目から隠れた場所である。


1階層は今まで見てきたダンジョンと同じように、洞窟だった。


「どうする?加速状態で一気に駆け抜けるか?」


なんだかんだ、普通のダンジョン攻略をするのは久しぶりな気がする。

前回は結構ゆっくり進んだが、今回はガンガン進んでいっても良さそうな気もする。


「……ん。じゃ、私が先行するから、付いてきて」


そういうと、澄火の姿がふっとかき消える。


––––加速装置。


俺もステータスの出力を上昇させ、加速状態に入る。


すでに「紫電」を纏いながらダンジョンの先へ進んでいる澄火に追いつき、澄火に速度を合わせて斜め後方の位置を維持する。


「紫電」を常時発動させていてMPを結構な量消費しているはずだが、澄火はMP回復上昇系やMP上限上昇系のスキルを取っているらしく、結構な時間あの状態を持続できるようだ。


未だにスキルを獲得する気配がない俺にとっては羨ましいかぎりである。


と、忘れてた。



若槻 翔

レベル69

HP 2200/2200

MP 4630/4630

SP 0

筋力 1680

魔力 1430

敏捷 1600

耐久 1611

器用 1601



俺は澄火を追いつつステータスを開く。


残念ながら、前回開いた時よりあまり上がっていない。

フリックしてスキルレベルを確認してみるが、こちらも上がっていなかった。


前回はあまりユニークスキルを発動させるようなことをしていなかったし、当然と言えば当然か。


俺はステータスを閉じて、ピース2……ブーツの運用を試してみることにする。


MPをブーツに充填し、エルヴィーラ邸で試したように空間を踏み抜く。

するとどうやらMPが足りなかったらしく、空間の固定がパリンと割れてしまった。俺は慌ててさらにMPを込める。

今度は大丈夫だったようで、無事に虚空を賭けることに成功した。


……こりゃいい。


MPの消費はもちろんあるが、いつでもどこでも地面を蹴れるので、普通ならありえないような機動を実現することができる。


そんなふうに遊んでいると、あっという間に1階層から下に降りる階段にたどり着いた。


道中の魔物は澄火が全て轢き殺したようで、俺は一度も魔物に出会うことはなかった。


「……ん。早くいこ」


澄火はそういうとぴょんぴょんと階段を6段飛ばしくらいでどんどんと降りていく。

俺はスマホにこの階層の様子をメモしつつ、澄火の後を追うのであった。


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