第2話 パズル

俺は気を取り直して、ダンジョンを先へ先へと進む。

石狩ダンジョンと同じように、2階層からは壁面、床、天井が近未来的なそれに変わる。

そしてもちろん、避雷針もあった。


……なんでこの避雷針があるか、つくづく謎である。放電対策にしては、少し過剰な気もするし、侵入者を阻むトラップにしては不足である。


「……むう」


澄火はほっぺを膨らませる。

確か前回、うまく回避させる方法を発見していたような気もするが、それでも面倒臭いものは面倒くさいようだ。


「アム・レアー」


俺はアム・レアーを起動し、ピュンピュンとビームでロボット型モンスターを吹き飛ばす。


「むう……」


それをみてますますほっぺを膨らませる澄火。

あっという間に10階層まで突破した俺たちを待っていたのは……超大型のパズルだった。


いわゆるフィフティーンパズルの累計なのだが……書いてある数字が全部見たことのない記号である。


しかも、ピースが全部で300個ほどもある。


一応、法則的なものはありそうだが……ピースの個数が個数なため、解くにはだいぶ時間がかかりそうだ。


「やるしかないか……」


俺はどっしりと腰を下ろし、念の為入れておいたノートを取り出した。解読、開始だ。


俺はまず、澄火にも手伝ってもらいつつ、使われている記号をリストアップしていく。

数時間かけた解析の結果、どうやら12進法で数字が表記されていることが判明した。


ここからは分担作業。澄火にはひたすらピースを動かして、総当たりで取り組んでもらう。

俺はもう少しの間、法則性を見出さないか考える。


「……ん。出来た」


十分後。澄火が俺の横に着地した。

瞳の奥にはばちばちと紫電が荒れ狂っている。どうやら、加速状態になって無理やり解いたようだ。


パズルのピースがぱららららと崩れ落ちていき、そこに一枚の扉が現れた。


「……ん。いこ」


澄火はぱっぱっと散らばった書類をまとめ上げて俺のリュックに放り込むとそう言っててくてく歩いていく。

俺は羅針盤を取り出して眺める。相変わらず、羅針盤は遥か下の方を指し示している。


……と、澄火がぴたりと扉の前でストップした。どうやら、扉を開けるには羅針盤が必要なようだ。


俺は急かす澄火を落ち着かせつつ、扉に羅針盤を押し当てる(特にセットする窪みとかはなかった)。


すっと開いた扉をくぐり、部屋の中に入るとすうう……っと部屋が下降をはじめた。


どうやら、全体がエレベーターになっているようだ。


澄火は俺と背中合わせになるようにポジションを取る。

まったく、頼もしい相棒だ。

俺は澄火に背中を任せ、エレベーターが止まるのを待った。

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