第5話 戦闘
ギャイン……という耳障りな音を(おそらく)立てて俺の刀が大剣と衝突する。
刀が大剣に食い込んでひび割れをおこし、ポロポロと金属片が大剣からこぼれ落ちた。
……受け止められた?
確かに、攻撃の瞬間には元のスピードに戻っていたが……それにしても。
「……やるじゃないか……だが……」
忘剣は力任せに大剣を振って俺を振り払う。
「忘れろ」
忘剣がそう大剣に問いかけると、大剣の傷がすうっと消え去った。
「やっぱり君の戦いはなってないね。もし君が私の本当の死角を見抜いていたのなら、もう戦いは終わっていた……技術も経験も足りてない」
忘剣はそういうと大剣を構え直す。先ほどとは違う構えかただ。
「第二ラウンド、だ」
大剣はこちらに突進すると、攻撃を仕掛けてくる。俺は二刀をクロスさせてそれを受け止める。
そこから、猛烈な斬り合いが始まった。
忘剣が攻撃を仕掛け、それを俺がいなしてカウンターの機会を伺う……といった形の応酬。
なんとか俺は受け止めて続けるものの、うまい具合にカウンターの余地を潰されてしまっている。
苦し紛れの反撃はすぐさま叩き落とされるため、手が出せない状況だ。
……それでも。
俺は数百にも及ぶ斬撃の応酬の中で、機を見出す。
忘剣が大剣を振りかぶったところで、忘剣の大剣の視線を集中させて注意を呼ぶ。
そして、ステータス出力を再びマックスまで上げて、忘剣の両腕を二刀で切断した。
返す刀でそのまま忘剣を斬るべく俺は二刀を振り下ろす。
そして……
「……第三の腕」
「……がっ!」
俺は突如出現した大きな手に体を掴まれて、そのままダンジョン内の壁へと叩きつけられた。
ずりずりとそのまま俺は地面に落ちてしまう。
拍子で「加速装置」が解け、一気に反動が襲ってきた。
叩きつけられたことによるダメージはステータスの高さもありあまりないが、猛烈な疲労感によって手足が全く動かせない。
なんなら、意識を保つのもかなり辛い状態だ。
……それでも。
俺は知覚だけでも加速させるべく、ステータスの出力を上げる。
「……私に任せて、若くん」
瞳の中で電光が荒れ狂っている澄火が俺の前に降り立った。
「纏雷」とステータス出力の上昇によって、澄火もこのスピードで動くことが可能になっているようだ。
澄火は俺の二刀のうち一本を俺の腰から引き抜くと、腕を治療している忘剣と対峙する。
どうやらもうダンジョン災害は終わったのか、洞窟からは一体も魔物が出てきていない。
「アム・レアー」
俺はせめての援護とばかりに、アム・レアーを操作する。加速中だが、特に変わりなく動かすことができそうだ。
「……ん」
澄火は抜刀術の構えを取る。
「第三ラウンド、か?いやはや、ひよっこ相手に奥の手を使わされるとはな。俺も焼きが回ったもんだな……」
そう言って忘剣は大剣を構えた。
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