第3話 ドラゴン

通路を守るのは、少し効率が悪い。

先ほどの俺の砲撃によって、あちこちが壊れかけてしまっているからだ。


故に、俺はダンジョンの入り口へと行くことにした。


「澄火」

「ん」


澄火は「雷球」を先行させる。

数秒後、どうっという音が聞こえた。どうやら、雷球が破裂したようだ。


「……ん。もう魔物が溢れ出しそうになってる」

「……まじかよ」


俺は「加速装置」状態になって瞬時にダンジョンの入り口まで移動する。


「アム・レアー!」


俺はマシンガンのようにビーム砲を放ち、魔物を殲滅していく。やはり遠距離攻撃は正義だ。

ビビビビビとダンジョンの入り口を打ちまくり、なんとか戦線を押し込む。


「若くん!上!」


俺は澄火の言葉に、反射的にその場から飛び退く。


どおんという音がして、その場に巨大なドラゴンが降り立った。

上を見ると、皮肉なほどに綺麗な青空が見える。

どうやら、天井を突き破りここまで来たようだ。


「……外で発生したのか?」


俺はひとまずアム・レアーで攻撃を仕掛ける。しかし、ドラゴンの鱗に阻まれてしまった。生半可な攻撃は効かないようだ。


仕方がないので、アム・レアーの方は洞窟から溢れてくるモンスターの処理に回し、刀で切りつける。

こちらはちゃんと攻撃が通り、ドラゴンの頭を両断することに成功した。


しかし、なぜかぬちゃーっと糸を引いて両断されたはずの頭がくっつく。


いや、というより……


「若くん!」


澄火が叫ぶのを耳にした俺は、澄火の意図を理解して澄火の方へと飛ぶ。

一瞬の後、ドラゴンへ向けて超高威力の紫電が放たれる。


黒焦げになったドラゴンを見る限り、どうもドラゴンに擬態しているスライムの亜種っぽかった。


と、俺は何かが飛んでくるのを感知してひらりと身を交わす。

俺がいた空間を、幾つものビームが貫いた。


ダンジョンの奥から出てきたのは、小さいドラゴンだった。あいつらがビームを撃ってきたようだ。


ビームにはビームとばかりに俺はアム・レアーで打ち返す。


「若くん……」


澄火が珍しく怯えたような表情で洞窟の奥を見る。

何事かと見ると、そこには見覚えのあるモンスターが3体立っていた。


やや小柄な赤い鬼。

中学生くらいの身長しかなく、筋肉もそれほどついているわけではない。

だが、その中に暴力的なエネルギーが感じられる……そんなモンスター。


荻窪ダンジョンで俺たちを制圧したモンスターだ。


「……大丈夫だ」


俺は二刀を構え、ステータスを全開にするイメージで「加速装置」を起動する。

今までのモンスターよりは若干動きが速いが、誤差程度の問題だ。


俺はスローになった世界の中で、赤鬼を数十回を切り裂く。


澄火の下へ戻り、ステータスの出力を絞るイメージをする。

その瞬間、赤鬼は肉片となって地面に崩れ落ちた。


「……ん。強い」

「澄火も強くなってるさ」


俺たちは自分たちの成長を実感しつつ、戦い続けた。そして……

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