第6話 ボタン
ボスのドロップ品を回収して、俺たちは10階層へと突入した。
ちなみに、ドロップしたのは少し大きめの魔石と、瓶に入った金属だった。
データベースで調べてみるに、どうやらレアメタルの一種らしい。
瓶に入っている量だと、だいたい100万円といったところか。触媒としての需要が高く、値段も釣り上がっているようだ。
「ひゃっくまんえん、ひゃっくまんえん……」
澄火もご機嫌であり、謎の百万円の歌を歌い始めている。
俺たちの資力から言えば百万円を端金と言える域に達しようとしているような気がするが、それでも嬉しいようだ。
そのまま10階層を探索すること一時間。俺たちは、謎のボタンを発見した。赤い、直径20cmくらいの大きめのボタン。
ところで、俺たちはここまで一度もモンスターに遭遇していない。
結構探索したので、流石に一体ぐらいはいてもおかしくはないのだが。
なんだか、覚えのある展開だ。
「澄火、わかってるとは思うが」
「……ん」
澄火はポチッと赤いボタンを押した。
うーうーうーと警報がけたたましく響きわたる。
「うおい」
そういう意味じゃない。
薄々こうなる予感がしていた俺は二刀を引き抜いて、澄火と背中合わせになるように立って警戒する。
うーうーうーと警報が鳴り響き、あちこちの壁が隠し扉のようにガシャンガシャンと開く。
そして、わらわらわらと丸い形のロボットがたくさん出現し始めた。
「澄火!」
「ん!」
紫電がのたうち回り、ロボットを破壊する。
撃ち漏らしたやつを俺が捌いていくが、限度がある。
ピピピピピピ……
ずっとなっていた警報の音が変わった。すると、丸いロボットが次々と変形し始める。
あるものは銃を持った人型に。あるものは盾を持った人型に。あるものは犬のような形に。あるいは、触手を生やした異形のロボットに。
多種多様な変化を見せる。
「澄火!」
俺は澄火に声をかけてから上に跳ぶ。
「ん!」
澄火も紫電をばら撒きながら、俺に追随するように跳ぶ。
「引きながら撃破してこう。俺が前方のモンスターを片付ける」
「了解」
俺は二刀を空中で構え、天井を蹴ってロボット軍に突進する。
切り払いつつ着地すると同時に、反動を生かしてまた上天井へ。今度は横の壁を経由しつつ地面へ着地する。
澄火の方をチラリと見ると、全身から紫電を放って、モンスターを殲滅していた。
とても楽しそうだ。
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