第5話 避雷針
二階層に入ると、ダンジョンの中の景色がガラリと変わった。
一階層は殺風景な洞窟だったのに、二階層はものすごく近未来的な感じだ。
壁、床、天井、あらゆるものがピカピカ光る機械でできている。
どんな機能を持っているのかわからないが、ともかく目がチカチカするような光景だ。
ダンジョンのデータベースでは、第2階層は第1階層と同じく「洞窟」と記載されている。
どうやら、放置されていた間にダンジョンの構造が変化したようだ。
羅針盤を見ると、相変わらずレーザーが下の方をさし示している。
と、かしゃん、かしゃん、かしゃんと金属を擦れさせながらモンスターがやってきた。
手に銃を抱えた、人型のロボットだ。
「紫電……む?」
と、いきなりダンジョンの床から針が生えてきて、紫電を受け止めた。
そのまま地面に紫電は吸収され、無効化されてしまう。
「まじか」
俺はロボットに突進し、左腰に吊っている刀をすれ違いざまに抜刀する。
数秒後、真っ二つになったロボットが地面へ倒れ伏した。
「むう……」
澄火は不満そうに頬を膨らませる。
「まあまあ。昨日少し練習してた、接近戦を試してみたらどうだ?」
「むむむ……」
澄火はこくりと頷き、俺のリュックから大きめのナイフを取り出す。
鞘からナイフを引き抜き、ヒュンヒュンと軽く振ってから納刀する。
なかなかに様になっていた。
「よし。じゃあ、羅針盤の指し示す方まで急ごう」
「……ん」
俺たちは走り出す。
そのまま第8階層の最後までまで一息に駆け抜け、俺は一旦立ち止まった。
「9階層から難易度が一段上がるらしい。……ダンジョンの構造が変わる前の情報だから、どこまで正しいかはわからないけど」
「ん。そうなんだ」
前回とは違い、どこからでも出現する避雷針(第2階層から全ての階層で出現するようになった)のせいで、澄火は全く力を発揮できていない。
そのせいか、澄火は完全に他人事みたいな返事を返してきた。
俺はそんな澄火に特に何も言えず、9階層(めんどくさいので、ここから第を取ることにする)へと突入する。
9階層は、近未来的なコロッセウムだった。
中央には、兵器を満載したロボットが鎮座している。
「回避!」
ロボットは俺たちの姿を認めると、ガトリング砲をこちらに向けてくる。
バリバリバリバリバリバリとコロッセウムを弾丸が荒れ狂う。
ステータスが上がっている俺たちの目でもとらえるのがやっとというスピードなので、普通の弾丸より速そうだ。
俺は回り込むようにしてロボットの側面へ突進し、ガトリング砲を切り捨てる。
すると、別の武装がそこから出現した。今度は真っ赤になるまで加熱されたらしき刀だ。
これは、徐々に武装を切り取っていく感じの戦闘になりそう……
ドン。
そんな音が鳴って、ロボットが吹き飛んだ。
振り返ると、澄火がドヤ顔で人差し指を銃の形にしてこちらにむけている。
どうやら、上手く避雷針を避けてコントロールする術を見つけたらしい。
……これは、再びの澄火無双劇場が始まりそうだ。
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